巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

RGR楽曲ライナーノーツ#7 ダイヤモンドスマイル/青春アルゴリズム

 どうも。RGR楽曲ライナーノーツシリーズのお時間です。


2019年5月。元号が平成から令和へと移りゆく初夏の候に今回書き殴っていく楽曲が世に解き放たれた。

そして、この楽曲が収録されたシングルは五枚目となる節目の作品でもある。

 

 

 

 

 

  ダイヤモンドスマイル

 

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 『Run Girls, Run!』のメンバーがメインキャストを担当している『キラッとプリ☆チャン』のテレビアニメ第2シーズンの最初のオープニングテーマ。

ランナー(RGRのファンの愛称)の中でも、この楽曲に高い評価をしている人は多いと聞く。
センターの林さんは、この楽曲の衣裳が最もお気に入りだと言っておられた。
衣裳にも三角形の模様が施されていて、硬いモノ、輝くモノの象徴の一つであるダイヤモンドをRGRの三人を絆として模しているのだろうし、トライアンギュラー=三角形ダイヤモンドをモチーフにしているのだろうとも捉えられる。


 新しい物語の開幕を飾る楽曲として、これまで歌われた『キラッとスタート』『 Go! Up! スターダム!』の憧れや夢を叶えて輝く存在になりたいテーマはきっちり受け継ぎつつ、超えてみせるといった強い意志やギラギラとした熱い滾りを加味されていて、作中での桃山みらい達の熱い想いと、リリース当時に結成二周年を迎える『Run Girls, Run!』の想いを同時に歌う楽曲。

前述の通り、『プリチャン』楽曲の系譜に連なる楽曲だけれども、RGR原初の楽曲である『カケル×カケル』の系譜・続編的なアンセムソングの系譜にも連なっていく激熱仕様。


 空へFly Fly Fly ずっと彼方へ だって最高潮

 ときめく気持ちで 強く羽ばたける

 ジュエルチャンス チャンス チャンス

 信じてるからきっとスーパースター

 超えて見せるから 輝いたステージを咲かそう


 ―Run Girls, Run!『ダイヤモンドスマイル』より引用


 ここでは、サビの盛り上がりから更に盛り上がって、楽曲のテーマに掲げた超えて見せるという部分を表現していると捉えられる。さながら、ブースト加速のフラッシュバックによって更に臨界点を超えた2段ブーストによる加速(盛り上がり)はハードなモノではある。

サビの後謳われるおそらくC'と称されるこの箇所に桃山みらい達とRGRの滾る想いと魂が凝縮され、演者とキャラクターの境界だけではなく、詞と曲調に彼女達が同化してしまう一種のトランス状態≒ゾーンの扉を開くかのような……楽曲の要となる部分ではないだろうか。若きセンター・林鼓子が『超えて見せるから』と響かせる魂の絶唱はいつになく力強く伸びやかで何よりも純然で明瞭なのもまた素晴らしいではないか。


 止まらないで駆けて来た次のステップは、高く舞い上がり大空へ飛び立つ事だと、個人的に感じる。
二周年のライブにて彼女達のイメージカラーが発表された。それぞれにあてがわれた色は彼女達三者三様の『翼』ではないだろうか。二年の刻を経た彼女達は変わろうとする想いと覚悟を歌声に乗せる。それぞれのリミッター(限界)を解き放って挑む様はこれまで彼女達が曲げないでやって来た“闘い方”でもあるし、変わらずに貫く意思表示でもあるのだと。

 

 

 

 

 

  青春アルゴリズム

 

 

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 『ダイヤモンドスマイル』のカップリング曲。
ミドルテンポで、センチメンタルなインプレッションであるが爽やかで沁み入る曲調に、語りかけてくる柔和な三人の素直な歌声が、激熱な『ダイヤモンドスマイル』との差が明確でその差がまた聴き心地良く響いてくる。

そして、ダンスの振付は厚木那奈美さんが担当。ライブで観客が一緒に振りが出来る事をテーマにして振付をしたと言う。

この楽曲だけではなく、RGR楽曲のカップリング曲はミドルテンポで聴かせていく曲調の系譜で構成されている。カップリングは別のアプローチに力を注ぎ、表現の差で魅せてRGRらしさを出す。そこに、『Run Girls, Run!』としての強い信念が伺える。


 この楽曲の要となっているのは、等身大のRGRのもっと成長したい純然な心情と揺れ動く葛藤。曲題の『青春アルゴリズム』とはよく言ったものであると膝を叩いたものである。

青春の定義として広く知られるのは、十代後半~二十代前半とも言われる。(諸説あり)
で、アルゴリズムのざっくりした意味は物事を解決する為の手順や方法。世代的に彼女達は若者のカテゴリーにある。


 夢のタネを育ててる 不安定なひたむきさが

 青春のアルゴリズムなのかな

 キミと空を仰いでる 今に答えがありそう でも分からない

 だからこの手を伸ばすよ 行かなきゃ


 ―Run Girls, Run 『青春アルゴリズム』より引用


 未熟で経験の浅い者は『青い』という言葉で称される。
しかし、先入観や偏見に縛られない自由かつ恐れを抱かない純粋な感性があるという逆の意味としても捉えられて、果敢に未知の領域へ踏み出しやすくもなる。

弱い存在である事を自覚し、新しい事を吸収しようと挑み、その結果無知を克服し成長する。
その過程は回り道で遠回りかもしれない。尚且つ、無駄なモノなのかもしれない。

だからと言って、その結果が間違いでもない。それもまた正解であり経験になる。特に、彼女達が身を投じた表現の世界では決まった正解が存在しない世界だ。夢のタネを芽吹かせるのに必要なのは分からないからこそ試して挑戦する事。それが彼女達のアルゴリズム=最適解へ導く方法なのだと。


 手を伸ばさなければ扉を叩く事すら出来ないし開けない。
そして、扉の向こうの領域に踏み込まなければ答えは分からないままだ。

でも、答えを知る事を急ぎ過ぎてもいけない。
厚木さんはインタビューの中にて、この楽曲は少し頑張り過ぎて疲れた時に寄り添ってくれるような楽曲になればいいと語っている。RGRにとってもこの楽曲は初心を忘れない内省的な面を持つ楽曲なのかもしれない。


 現在地のRGRの心情に寄り添っている楽曲ではあるが、彼女達が歌い続けて育てて、未来の刻でまた聴いた時に違ったインプレッションと深みをもたらす可能性に溢れた楽曲だと思える。バトンも手を伸ばさなければ渡せないし掴めないのだから。