巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

RGR楽曲ライナーノーツ#2 スライドライド/サクラジェラート

 どうも。RGR楽曲私的ライナーノーツのお時間です。

今回は『Run Girls, Run!』のメジャーデビューシングルとなったCD『スライドライド』に収録された二曲について書いていこうと思います。


自己満足感満載の拙い駄文で申し訳ないが、こんなアウトプットを恥ずかしげも無く書けるヤツが世の中にいやがるのか生温かい視点で読んで下されば幸いである。

 

 


 スライドライド

 

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 Run Girls, Run!のメジャーデビューシングル楽曲。1stアルバム『Run Girls, World!』にも収録。
TVアニメ『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』のオープニングテーマして使用された。
Run Girls, Run!の初のアニメ・タイアップ曲。そして、メンバーの一人である厚木那奈美さんがマーサ役として出演している。


 曲調は、疾走感に溢れるロックチューン(プログレッシブロック調)に仕上がっていて冒険譚のOPテーマに相応しいモノだと思える。また、低音域の静から高音域の動への振り幅が広く難度が高い。この差によるモノも冒険譚の早い物語展開をメロディで描写していて、原初の楽曲である『カケル×カケル』の系譜をなぞっている様に感じられ、疾走感のある楽曲を軸に携え闘いに打って出るという意欲に満ちた楽曲ではないだろうか。

『カケル×カケル』が起伏の緩やかな道筋を疾走するイメージだと自分は捉えていて、で…この楽曲は疾走するイメージは同じモノだけれども、荒れ放題の獣道で尚且つ吹き荒ぶ風のオマケ付き。アーティスト『Run Girls,Run!』としてここから駆け出す未知の軌跡を思わせる様な……曲調が難解だと自分がインプレッションとしたのはそこ(三人の旅路の険しさ)が影響しているのだろう。


 未来は熟した 今 逃げない 負けない

 さぁ 原点に立ってる 容赦なく

 pride cried tried→tried→try slide

 ―Run Girls, Run!『スライドライド』より引用



 pride cried tried→tried→try slideの部分を直訳すると、prideが誇り。criedは泣くという意味が一般的だが、叫ぶという意味もあって、おそらく後者の叫ぶという解釈だと勝手に思っている。
で、tried(試した)が二回続いているのは、試したが出来なかったという意味があるともされ、二回目の『tride』再度試そうという決意を叫び、slide(移る)で荒れ放題の軌跡へと挑む。

ユニット名を記した旗を立て、決意滾る三人の双眸の力強さと、三人が立っているであろう荒野(勝手なイメージ)はここから旅立つ彼女達の原点であり挑戦なのだろうとここのサビ前の節々からは思えてしまうのだ。

前述にあるが、この楽曲は異世界を舞台にした冒険譚のテーマソング。
冒険譚の要となる要素の一つとして仲間との絆が挙がって来る。
それがダイレクトに感じられ彼女達が楽曲のエモーショナルが最高潮と語っていたのが、三人の歌声による掛け合いがあるDメロ部分だと。


    できる できないことが できる

 (予感やヒントは)スライドライド

 (どこから来る) スライドライド

 (自分からの) スライドライド

 《過去と今と未来からの》 (贈りものだ)

 ―Run Girls, Run! 『スライドライド』より引用


 ここの節はこれまでの疾走感は一旦鳴りを潜めて、沁み入る様な曲調となってそれぞれに特徴が異なる三人の歌声が響く。MVでは辿り着いた城で突き刺さった剣を三人の力を合わせて引き抜くシーンが描かれていてそのシーンはこのDメロパートから始まる。剣が持つイメージの一つとされているのが力の象徴。それはRGRとしての力を示すシンボルと結びつく……


そして、このパートこそがこの楽曲の『要』なのだと個人的に感じる。


 ユニット名を刻んだ旗が原初の楽曲『カケル×カケル』のシンボルとするなら
三人の力で引き抜いた剣のシンボルがこの『スライドライド』という楽曲なのだろう。この楽曲は難解で楽曲の力に振り回されてしまっていたのかもしれないが、三人はそれから逃げずに真摯に向き合った。サビの詞に何度も…まるで摺り込む様に使われている『trust』は信頼という意味を持つ英単語。自分や共に往く仲間で、付け焼刃も叩き続ければきっと『真剣』(ホンモノ)になると信じて、走り闘う決意を示す。

 
 自分の中の狭い定義ですまんが……この『スライドライド』という楽曲。
Run Girls, Runの『アンセムソング』であると勝手に叫びたいと思う。

 

 

 


 サクラジェラート

 

 

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 デビューシングル『スライドライド』のC/W楽曲。
ここで注意していただきたいのは、この楽曲は1stアルバム『Run Girls, World!』には収録されていないので、購入される際には是非とも注意されたし。

ダンスの振付は、ダンスを得意とする厚木那奈美さんが担当している。

曲題に『サクラ』=桜とある様に、この楽曲は『春』を題材にしている。
RGR楽曲のもう一つの軸を成しているのが、後でここでも取り上げるが季節の中移ろいゆく恋愛模様を題材にしたラブソング『季節楽曲シリーズ』なのである。


…公式名称は不明なのでここではこの様に称します。


 曲調は、和のテイストを醸し出すテクノポップ調でこれまでの楽曲とは雰囲気が変わった変化球的な楽曲だというインプレッションを抱いた。メロディのみで捉えると沁み入る要素でありながらもキュートな可愛らしさを模している曲調だと。そして、曲調に乗せて舞い踊るダンスの所作もそのキュートさをより引き立たせるモノだ。
だが、このキュートな和風テクノポップに詞というエッセンスを加えると……切ない恋慕の情という味変という化学反応が生じて春限定の『サクラジェラート』という氷菓(楽曲)の出来上がりだ。

サビで醸し出される幻想的な要素もこの楽曲の魅力だが、それ以上に『切なさ』…桜が持つイメージでもある『儚さ』がこの楽曲のキモになっている要素だと思えるのだ。


 ひとりベンチから見てる マンガみたい

 会いたかっただけ 星が降ってくるのを待つ

 少し寒い サクラジェラート

 ―Run Girls, Run! 『サクラジェラート』より引用


 この楽曲の物語の主役は思春期の少女だろう。春と言い切るにはまだ肌寒い夜に彼女は、普段行かないお洒落な店で精一杯の慣れた仕草でアイスを買って公園に向かった。
気の早い春と詞にある。彼女の着ている服が春物だったのもあるし、おそらく彼女は意中の片思いの相手『きみ』に告白する為に公園にやって来たのだろう。上記に挙げたサビの節は少女の心模様を表現しているのだと。星の降る頃=夜空になる頃合いに『きみ』が来る事を願い待っている。

シーズンには早い春物の服で着飾り、普段行かないようなお洒落な店で買い物をする。
ラブソングの所感でこの表現はどうかとも思うが、この少女は勝負に出ている。

 


結論から言うが、この勝負に彼女は負けます。

 


 いけないものを見てしまったと 気まずさの色が濃くなる

 ここから遠ざけられたくない 気づいていないような動きをした

 ―Run Girls, Run! 『サクラジェラート』より引用

 


 見たくないモノを見せつけられてその場には一秒たりとも居たくはないが、けど……想いを寄せる『きみ』と空間を共にしたいというジレンマに苛まれる。魂の平衡を守る為に少女は現実から目を背ける事を選択した……多少感じる歌声の朗らかさはそれを表してるとも取れる。

切なさと儚さというエッセンスを過剰投入させられ味変の最終形態になったこの状態が『サクラジェラート』の本当の味である事を少女と受け取り側である我々は思い知らされた。もう、制作陣の掌の上でいい様に転がされた。


 結論を言うと。この楽曲はキュート且つ幻想的な外面を持つが
内に潜む顔は届かぬ想いに焦がれ片想いに悩む女子の気持ちをのせた切ないラブソング。切なさと儚さは前述でも述べたが桜が持つイメージの一つ。


 そして、しっとりと傾聴させる系譜の楽曲がディスコグラフィに加わった事は『Run Girls, Run!』の新たな可能性と幅の広さをアピールするモノであると勝手に断言したいと思う。

 


 
 以上が『スライドライド』&『サクラジェラート』の独自考察となります。
ここに書いたのは勿論正解でもなければ。こうだ!と押し付けるつもりもない。ただ、こういう解釈もあるのかという数多ある可能性の一つであると示して筆を置く事と致します。

 

 

 最後まで読んで下さりありがとうございました。