巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

利器と凶器。そして…使う者の魂。

 どうも。あかとんぼ弐号です。


この事について記事にするのは正直迷いましたが……プロレス好きとSNSを利用して言の葉を紡ぐ者の端くれとして、やっぱり書き残しておかなければならないと決断して筆を取った次第であります。

自分の様な人間が書いたところで、想いの半分も伝える事は叶わないかもしれない。それでも、この事象から知らぬ存ぜぬするのは違う事なので、いつも以上にお見苦しい駄文ですが書かせてもらう。

 

 昨日、5月23日の昼過ぎ頃自分のTwitterのタイムラインに
女子プロレスラーの木村花さんの訃報が発表されました。


享年22歳。早すぎる最期です。


 亡くなった原因については、公式発表がまだされていないとの事なので詳しく分からないのでここでの言及は出来ないが、どうやらSNSからの誹謗中傷が絡みで原因となったのが、彼女が出演されたTV番組内での立ち振る舞い方によるとされている。

その番組を全く観ていないのでどうこういえないのだけれども、彼女がその番組から出演のオファーをもらって何を思い決断したのかは分からない。自分が勝手に思っているのは自分がその番組に出て、多くの人に観られて彼女を、プロレスを知って一人でも多くの人を会場へ、ひいてはプロレスファンになって欲しいという想いがあったと思っている。


 自分が、木村花さんを知ったのはTVで放映された彼女が所属する『スターダム』の試合。
感情を剥き出しにして苛烈に攻めるアグレッシブなファイトスタイル。何と言うか彼女から迸る雰囲気は只者じゃない華があるというインプレッションを抱かせた。

自分なんかが言っても説得力の欠片もないが……将来、団体だけじゃなくて女子プロレス界をリードしていく存在になるだろうと感じた。一方で、リングを降りれば、礼儀正しく素直で真摯にプロレスに向き合ったという声を多く聞く。

彼女の母親もかつて女子プロレスラーだったとの事。彼女にとってプロレスというモノは幼い頃から共に在って、憧れであり目標だった。私見の域だがバラエティ番組の出演を決断したのは先述にも書いた様に自分を知ってもらって女子プロレス界を盛り上げたいという純然な想いからなのだろう。

彼女がその番組で何をしたかは分からない。立ち振る舞いや言動が鼻についてしまったのかもしれない。それがおそらく大多数になって『まぁ、非難の一つでもぶつけてやるか』と思い彼女に小さな悪意の石をなげたのだろう。

石は小さかったのだろう。だが…そいつが何人、何十、何百、何千を積み重なってたった一人の女の子にぶつけられてしまった。ぶつけられた方はたまったモノじゃない。
無関心を貫けば…という人もいるだろうが、おそらく彼女は本当に生真面目な人だったのだろう。
割り切ろうともしたのかもしれない。 でも、出来なかったのだろう。

非難を浴びせる言を放った一人一人は軽い気持ちなんだろう。だが、やられた方はそうじゃないんだ。
完全な自己満足の正義感というクソなエゴで、一人の未来有望な才能の尊厳を踏みにじって心を殺した。おそらく、今回の様な悲劇は今後増える。自粛警察とかいうアホがそのいい例だ。

この手の話は、まぁ大昔からある。昔は直接的な手段だったモノが現在では間接的な手段に変遷しただけ。人間という種が存在する限りコイツは無くならない業の一つなのだろう。


 ネットの発達、特にSNSの存在によって想いをよりダイレクトに伝える手段が確立された。
純然な好意が伝え易くなったが、同時に悪意もまた伝え易くなってしまった。情報の正確性もそうだ。
使い方、受け取り方を間違えるとそれは他者を傷つけてしまう凶器へと変貌してしまう……


そして、コレを書いておる自分にも言える事だ。


完璧に使いこなしているなんて胸張って言えないし、聖人君主の様に立ち回っているワケじゃないのも重々承知の上だ。主にBlogというツールを利用して好き勝手に書き殴っている愚者だ。自分の書いたモノを気に食わない、腹立たしいモノだという方もいると思ってる。

今までも、いろいろと記事を書いて来ました。特に一番緊張するのが書き上げて世へ放つ時の投稿・公開をクリックする時だ。

想いの丈を発信するのは自由。けど、だからと言って好き勝手に何でも書いて発信していいというモノじゃないと思っています。まぁ、自分の駄文でそうはならないでしょうが……発信した記事が、読まれた誰かの日常の一部を変えてしまう事だってある。それは自分が肝に銘じている事でもあります。

 

 最後に……自分が木村花さんを知ったのは今年の初め。
期間が短くて浅い人間ですが、彼女の訃報を聞いた時は本当に寂しく悔しい想いで溢れた。でも、彼女を深く知り本気で応援している方や縁深い方達の悲しみはそれ以上で身を切られる様なモノなんだろうと思えてならない。


そして……一番悔しいのは、彼女自身だろう。


まだまだこれからの選手だったし、選手として、一人の女性として叶えたい事は沢山あっただろう……


 二度とこんな悲しくて悔しい事が起きて欲しくないし、希薄にしてはならない事を願う。
改めて、自分が今使っているモノが心持ち次第で簡単に凶器へと変貌してしまう危険なモノだという事を誓って筆を置きたいと思う。


 木村花さんのご冥福を心よりお祈り致します。