巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

最後となるもう一つの"闘い"と"HOME"の物語。

 まさか、この言葉をもう一度言う事になるとは思っちゃいなかった。

 

あの七人に負けた……という言葉を。

 

 

 ここに、一枚のBlu-ray Discがある。今回の記事はその話。

 

 

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Animelo Summer Live 2018 "OK!" 08.24』のBlu-ray Disc


 2018年8月24日に開催された『Animelo Summer Live 2018 "OK!" 』1日目の模様が収録されたモノだ。
そして、あの七人……『Wake Up,Girls!』が臨んだ最後となる"もう一つの闘い"

 

 ここで改めて書く事ではないが、Wake Up,Girls!は2019年3月に解散した。故に、その前年の夏に参戦したアニサマのステージは前述の通り最後の参戦になる。
そして、後の刻の約束の地『さいたまスーパーアリーナ』にて……七人のド真ん中に立つ彼女の誇らしげに放った、意義深く途轍もなく重いこの言葉が俺の脳ミソでループされ響く。


『やっぱり、この七人"最強"なんです。』と。


WUGの七人が臨んだ最後となる"もうひとつの闘い"をようやくこの期に及んで観る事が叶った一人のおっさんが、ダイレクトに感じたインプレッションを書き記しておこうと思う。

 

 

 ・WUGの闘いの"流儀"

 


 Wake Up,Girls!のアクトが収録されておるのはDisc2。
彼女達が披露したのは二曲。WUGの参戦が決定したのはおそらくギリギリの刻。悪い物言いをしてしまうと強引に捻じ込んだ感じは否めない。そして、参戦決定への様々な意見もあるだろう。
個人的な意見だが、自分は二曲歌うGOサインを出してくれた事に勝手ながら感謝の念を当時抱いた。


七人が初手に持ってきた楽曲は『極上スマイル』


 しかし、メインステージに七人の姿はなかった。それもそのはず。彼女たちはトロッコに乗り込んで客席近くから登場したのだから。そして、七人が纏っている衣裳は結成5周年を記念して作られた衣裳。


笑顔のファンタジスタ高木美佑さんは満面の笑みで吠える。


『極上のスマイル、見せて下さいね~ッ!!!!!!!』と。


更に、WUGのセンター・吉岡茉祐さんが闘いの開始を告げる。


『いくよッ!!!!!!!』と。


二人の声に呼応するかのように、一気にバーストして滾る場内の雰囲気は映像越しでも肌をビリビリと突き刺す激しさがあった。この殺気に近いモノは七人がアウェー戦で魅せる闘い方だと。


 シンドイ季節を知ってこその 笑顔 極上スマイル

 ―Wake Up,Girls! 『極上スマイル』より引用


 トロッコから降りてセンターステージへと全力で駆けていって、全力全開で歌い踊るその姿はこれまで通り彼女達は何も特別な事をしたワケじゃない。奇を衒う事無くいつも通りに本気で、全力全開で、想いと魂を燃え滾らせる『いつものWUGのライブ』のスタイルだ。


 最期の瞬間の刻まで…この笑顔は絶対絶やさない。
どういう真意を持って当時彼女達が解散までの日々を過ごしていったのかは窺い知る術は無いし、知りたいとは思わないので、コイツは完全な私見なのだけれど……七人が貫き通したい意地と信念だったのではないだろうかと思えてならないのである。

このもう一つの闘いであるアニサマのステージに於いても、七人は様々な物語を紡いで来た。
嬉しい事、悔しかった事、天文学的な確率で繋がった奇跡の繋がり……その全ての縁に意味があってこの最後の刻へと繋がり、謳う七人の笑顔はまさしく『極上の笑顔』だった。

 

 

 


 ・Last act 七つの星と真愛の謳

 

 

 『極上スマイル』を歌い終え、吉岡さんが代表として挨拶をした。WUGが終焉の刻を迎える事やアニサマへの想いと感謝を言葉に込める。

 

『ありがとう』の気持ちを次の曲にのせて歌うんですが……

次の曲は私達七人がそれぞれ紡いできた

言葉を歌にのせた曲になっています。

 

本当に、いつも私達を支えてくれて……

照らしてくれて…私たちの道標になってくれて

本当にありがとうございます!!!!!!!

それでは、私たちの想いを…皆さんに届けたいと思います。

受け取って下さい、聴いてください。


Polaris

 

 


 ラスト・アクトに選択したのは……いや、もう最後を飾るに相応しいのはこの楽曲しか無い。
吉岡さんの言葉にもあった様に、この楽曲の詞を紡いだのはメンバー達七人による生命の謳でもあり、アンセムソングでもある七人にしか謳えないOne offの極致に在る『Polaris』。

しかし、この楽曲はアニメ本編にて使われたものの、シングルカットされておらずワグナーにしか知らない内輪な楽曲。あの場で初めてWUGを知った、初めてこの楽曲を聴くという人の方がおそらくは多数を占めていたと勝手ながら思うのである。


けど、それを承知の上で七人はこの楽曲を歌う事を決断した。


 楽曲への敬愛と尊敬の念。

 WUGのアイデンティティと偽りない生き様を証明出来る武器。

 伝えたい純粋な想いと魂。

 終焉の刻まで煌めきを絶やさない決意と覚悟。

 七人の底力と逞しさを魅せられる楽曲。

 共に在る事への感謝と信愛の念。

 とっておきの切り札として……etc


 七人がありとあらゆる想いと魂を言の葉に込めて紡いだ楽曲。
その楽曲が持つ力の強さを最も信じているのは他ならぬ彼女達七人。
そして、七人と魂を共有している真夢達の想いと魂も一緒に在る。

歌う七人の背にあるモニターに映し出されているのは、これまでに参戦して来たアニサマで歌い踊る映像……言わば、このアニサマでの闘いの軌跡だ。

劇中、この楽曲が歌われたシーンで片山実波のマイクにトラブルが発生して歌声が途切れてしまう。
このエピソードの基となったのは、WUGが初めて参戦した2014年のアニサマで実際に実波役の田中美海さんが遭遇した出来事でもあったのです。でも、この刻では田中さんの溌剌な歌声は見事にこのSSAの会場に届けられた。

ステージには魔物が棲むなんて称される事がある。
その魔物は気まぐれだ。一度はまだ弱い存在の彼女達に牙を剥き容赦無く呑み込んだ。だが、この日は何のトラブルやアクシデントも無かった。

コイツは、俺の私見と妄想の域だが……その魔物も、七人の最後の闘いを見届けたくて彼女達の謳を傾聴していたのだろう。WUGの本気の想いと魂はステージの魔物をも魅了したのだと…


そして、2番を歌い終え間奏に入って突如響き渡る声があった。

 


『こんばんわぐ~OK!!』

 


これは七人の声じゃなくモニターの映像からだ。そのモニターには、七人へ真愛の言の葉を贈ろうと
彼女達と『縁』深い人達の姿が次々と映しだされる。


 七人を全力で追いかけて来る次世代の星。『Run Girls,Run!』

 時には立ち塞がる壁であり、また、導いてくれた先駆者。『I☆Ris

 凌ぎを削り、競った同世代の戦友『Aqours

 七人と同じく終焉の刻を迎える者『ミルキィホームズ


 この流れは『新章』最終回にて、回線で繋がって『Polaris』を各地のアイドル達が謳う展開をモチーフとして演出したと聞く。劇中では絶望の淵に在った鈴木萌歌を照らし導いた。現実の刻では、『Run Girls Run!』『I☆Ris』『Aqours』『ミルキーホームズ』がWUGへの真愛の想いを贈る。
それは心の光が互いに導き、繋がり、輝いた物語だったのではないだろうかと俺は感じざるを得ないのだ。

この突然の展開に驚きを隠せないWUGの七人。当時もそうだが改めて映像という形で観ても
ここでの演出のニクさにはただただ感嘆するしかない。

双眸を潤ませながらも、自らのソロパートを力強く歌い上げる吉岡さんの漲る眼光の力はより双眸の輝きを増した様に見えた。彼女の曇りのない眸の輝きに俺は惹かれたんだよ。


本気の真剣な想いと魂というヤツは、必ず伝わると思っている。
彼女達七人がこれまで信じて貫いた闘い方が多くの人の魂に届いて、応えてやりたいと願って真愛の情へと昇華した。言うまでもなく、最高のパフォーマンスのラストアクト。

このBDにはバックステージの映像も収録されている。
出演を終えた七人の表情は、清々しく、全て出し尽くし充実感に満ちた本当に素敵な笑顔だった。こんな晴れやかな極上の笑顔がもう一つの闘いのエンディングなのだと思えてしまうのだ。

 

 

 こうして、WUGとして最後となるもう一つの闘いであるアニサマは終わった。七人にとっての"もう一つの闘い"の場であったアニサマのステージ。本当にギリギリのタイミングで参戦が決まってアウェー感漂う中で挑むのを承知で彼女達はあの場で闘う決意だったのではないだろうか。


だが、最後となったこのステージはアウェーじゃなかった。
真愛の情に溢れたもう一つの"HOME" だったのだと。


 WUGのファイナルライブの参戦レポにも書いたが
こんなにも多くの人に愛されて、親しまれて、終焉の花道を見事に飾れるグループはほんの一握りなのだろう。

おそらく、彼女達は口を揃えて言うのだろう。『こんな私達の為に』と。


最後の参戦は、本当に色々な方面で動いた人がいたのは容易に想像が出来る。
いつでも本気で一途。諦めの悪さは筋金入りの叩き上げの魂。
あの七人が巻き起こした熱に当てられて自分の中の燻ぶった火がまた燃え滾る。Wake Up,Girls!という存在は、このアニサマに於いてもきっちりとその楔を見事に撃ち込んだと思える。


期待に見事応えて、予想をいい意味で裏切る事。


それがきっちりと出来る信頼があの七人にはあった。だからこそ最後の花道を見事に飾って送り出してあげたい願って叶えるために動いたと俺は勝手に思いたい。

 

 

 

 ・最後に


 ここに、今回のヤツを含めて四枚のBlu-ray Discがある。

 

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 全力を出し切れなかった後悔と涙で濡らしたもう一つの闘い。

 成長の証を見事に魅せつけたもう一つの闘い。

 奇跡とも呼べる縁で繋がったもう一つの闘い。

 真愛に満ち溢れた最後のもう一つの闘い。

 


 結局の所、自分は最後までWUGが挑んだもう一つの闘いであるアニサマへの参戦は一つも叶わなかった。現地で直に感じられる熱量と圧は映像だと伝わりにくいかもしれないが、映像でしか伝わらない事もあったりするモノだ。

この四つのもう一つの闘いはどれも素晴らしいモノだ。
彼女達が駆けて来た軌跡の中で、アニサマでの闘いも欠く事の出来ない尊い出来事。購入ときちんと観る機会が遅くはなってしまったが、それがようやく叶い感じたインプレッションをこうして書く事が出来た。自分もまた…あの刻の七人の様に全てを出し尽くして書き残せたと思う。


さて、そろそろ筆を置く刻となりました。

最後に…もう一度あの言の葉を以て本稿を締めようと思う。


あの七人に負けた……本当に凄い七人だ。