巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

WUG楽曲 ライナーノーツ #32 Character song series 七瀬佳乃編

 どうも。あかとんぼ弐号でございます。


現在、世情が大変な事態に陥っておりますが…皆様如何お過ごしでしょうか。
一方当Blogと言いますと、世情の波に一切乗らない異端零細Blogでありますので自分が書きたいと思うネタを書き殴って潜影蛇手(投稿)するスタイルは曲げませんので今回もその流れに沿った記事をお届けさせていただきます。


 今回を含めて残り三回となったWUG楽曲ライナーノーツシリーズである、キャラクターソングシリーズの最後となるWUGのリーダー・七瀬佳乃(CV:青山吉能)の楽曲についていろいろと書き殴っていこうと思う。

 

 

 


 ステラ・ドライブ/七瀬佳乃(CV:青山吉能)

 

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 作曲を手掛けた田中秀和氏曰く、この楽曲は松任谷由実さんをイメージして作ったとの事。
シティ・ポップ調の疾走感漂う洗練された曲調を、都会への憧憬を抱く七瀬佳乃がそこに何時かは近づきたいと願い謳う七瀬佳乃(青山吉能)の清廉な歌声がエモーショナルな要素を駆り立てる要素である様に思える。

曲題の『ステラ』はラテン語だかイタリア語で星の意味を持つ。星の様に煌き輝きたいという想いもあるのは勿論なのだろう。でも、自分が感じているのは『ミルキーウェイ』(天の川)という語が詞にある事から星が創る道という意味もあって…その道を行くという意味を持つ『ドライブ』でもあり、『アカシックなメモリー』という詞→記憶媒体の意味を持つ『ドライブ』でもあって……(おそらくアカシックレコードの意を汲む語だろう)この楽曲は七瀬佳乃の過去から未来への生き様の軌跡と記憶の謳。

 
 ステラ・ドライブで自由になれる パワフルにもっと歌える

 眠ってるチカラを 目醒めさせるだけ

 ステラ・ドライブは 自分の中の未知数を読み取れる場所

 感情線迷っても止まらない 私は直感を信じるナビになる


 ―七瀬佳乃(CV:青山吉能) 『ステラ・ドライブ』より引用

 

 人間は感情の動物と称される。そして、七瀬佳乃という人物は作中でもとりわけ感情表現が豊かな人物だ。手相の感情線という意味でもあり彼女の感情起伏の模様を線にも見立てている詞である様にも捉えられるのではないだろうか。けど、いろいろと揺れ動く感情の中にあって佳乃の原初の想いである『東京へ行けば変われる』という直感はぶれる事はなく未知の可能性を信じた。それを証明しているかの様にここでの彼女の歌声はメリハリを一層きかせ、躍然的な聴き心地を醸し出していて青山吉能の歌声の根幹を成している要素を如何なく発揮している。そう、彼女の魂の奥底に眠るチカラが覚醒して“血が流れる絶唱の域へと進化していくのだ。

で……2番のサビの詞ににある北斗七星という詞は佳乃自身も含むWUGの七人の事を指しているのだろう。他の星々と巡り逢えた事によって未知の軌跡と記憶を紡げる挑戦の機と帰れる地を得た。

それは佳乃の新たな魂の居場所であり人生を懸けている場所とも捉えられる。進むべき軌跡は見えていてあとはどれだけ険しく入り組んで複雑だろうとまっしぐらに偽り無い本能を魅せ付けて未来へと突き進む。


そういう意を汲んだこの楽曲は、七瀬佳乃のアンセムソングと称して良いと思えるのだ。

 

 

 

 

 青い月のシャングリラ/七瀬佳乃(CV:青山吉能)

 

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 七瀬佳乃にとっては憧憬を抱く地『東京』こそがシャングリラ(理想郷)なのだと。
念願叶ってようやくその理想郷に挑める機と刻が巡って来た。変わろうとする想いと覚悟を秘め“儀式”として彼女は東京への闘いへ赴く前に髪を切ったのかもしれない。その佇まいは潔く誰よりも気高い。

しかし、この楽曲は曲題の煌びやかさや佳乃の意気揚々とした想いを謳う明朗な楽曲ではなく、突きつけられた非情な現実(まやかし)と彼女の魂に潜む負の感情に抗う模様を哀愁的でありながらも反骨の魂を感じさせる生々しい『Beyond the Bottom』の系譜に連なる生命の謳だと感じてしまう。


 かきわけつかんで抱きしめて やっと手にした光

 エピローグは語らせない まだ物語の途中


 ―七瀬佳乃(CV:青山吉能) 『青い月のシャングリラ』より引用



 理不尽な現実、もしくは彼女の負の感情から『お前の物語はここで終わり』だと告げられる。
だが、彼女達は一切聞く耳を持たないし諦めの悪さでは他の追随を許さない頑固者。徹底的に打ちのめされようが様々な言の葉で諭されてもだ。さながら……
『お前の言い分なんざどうでもいい。物語の決着は私達の手でつける。』
彼女達が吠えている様な、そんな爆ぜる想いを抱きながらも何か押し込んだ様な青山さんの歌声に前述の生々しさと反骨の魂を感じ、ここがこの楽曲の『要』であると個人的には思う。


 不変を疑わないシャングリラ きっと驚くでしょう

 青い月は成長して 煌々と世界を照らしている

 どこまでも 照らしている


 ―七瀬佳乃(CV:青山吉能) 『青い月のシャングリラ』より引用



 理想郷は受け入れる者を拒まないが、寛容じゃなく辿り着いただけじゃ意味はない。
その現実を痛感したからこそより強く輝こうと魂に野望の炎を燃やして照らす。ラストの節の『どこまでも照らしていく』はここまで鳴りを潜めていた七瀬佳乃と青山吉能の血の流れる絶唱を気持ち良い程に響かせている。

このライナーノーツシリーズに於いて、キャラクターとキャストが境界を超えてシンクロする楽曲が幾つか存在しているがこの楽曲はその最たるモノだと感じている。
ある人は、七瀬佳乃の魂が彼女を演じる青山吉能の魂に引っ張られていると言っていた。この楽曲は七瀬佳乃のキャラソンであるのだけれども、青山吉能の駆けて来た軌跡と視点と多分に重なり合い両者の境界が曖昧になり、リンクして繋がりが深まる要素に自分はこの楽曲をとても魅力的に感じるのだ。

青山さんによって魂を宿らせた事で存在する佳乃と、佳乃という存在によって挑戦という雄飛の機を得た青山さん。青い月というのは佳乃と青山さんとの縁の繋がりを喩えた物言いの様に思えてならない。


反骨の魂と炎を沸々と燃え滾らせ、爆ぜる想いを内に秘めたお互いにとっての生命の謳でありながらも、縁の繋がりへの感謝の謳でもある。

 

 


 Dice of Life!/七瀬佳乃(CV:青山吉能)

 

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 この楽曲のファーストインプレッションは『闘い』の楽曲だと感じた。加えてポップロックテイストの曲調がより楽曲の世界観に彩りを加味してお洒落な楽曲といったインプレッションを抱くが、当の佳乃はお洒落と言う要素へ反逆の牙を剥き出しにしていると自分は思ってしまうのだ。

では、何に対して佳乃は闘う姿勢を見せているのかと言うと、刻の流れに翻弄されまいと抗う自らを奮い立たせる為ではないだろうか。で、刻を連想させる語が詞に幾つか出て来て特に『Precious Days』(貴重な日々)を守る為の闘いを謳っていると解釈出来ると思える。


 キラキラに光った 飾るための衣装は興味ない

 ジュエリーも Say,No Thank you!

 上辺だけのスターはNo×3 わたしはわたしだ


 ―七瀬佳乃(CV:青山吉能) 『Dice of Life!』より引用

 

 七瀬佳乃のパーソナリティを、自分は潔い気高さであると称した。
常に全力投球で生真面目で不器用。真正面からしかぶつかる事しか知らなくて何かで偽り誤魔化して魅せるなんて器用な事なんて出来ないしその思考は彼女の魂には存在しない選択だ。
かわせば、すかせばもう少し楽に生きられるというのは彼女も理解しているのだろう。でも、その闘い方は七瀬佳乃……そして、青山吉能の闘い方じゃない。
彼女を綺麗に飾り立てる全ての要素を不要と言い放って拒絶して偽り無い本能を魅せ付けてやるという佳乃のアイデンティティがここの節々には凝縮されていると感じる。

 

 続けることに意味があるから 信じてみるのも悪くはないはずさ


 ―七瀬佳乃(CV:青山吉能) 『Dice of Life!』より引用

 

 これまで魂をすり減らしながらも限界を超えようと挑み闘った。
そうする事で未来への軌跡を拓けると頑なに信じて想いを貫く。彼女が振う『Dice』(賽の目)には全てを賭けて闘えと刻まれた面が常に出ていたのかもしれない。


今までも、これからも……貫いて来た闘い方は絶対に曲げない。
この楽曲も七瀬佳乃の愚直なまでの潔く気高い魂を象徴させる楽曲ではないだろうか。

 

 

 

 以上が七瀬佳乃のキャラクターソング三曲の所感&独自考察になります。
本文中、七瀬佳乃と青山吉能さんの『生き様』という言葉を多く使って書きました。勿論、他の六人のキャストとキャラクターにも縁とそれぞれの生き様があって楽曲にそれが反映されていますが、それを凌駕する佳乃と青山さんの縁と生き様はとりわけ強烈で固く繋がっているというインプレッションを記事を書いていく中で改めて思い知らされた様な気がしている。

 


 取り敢えず、本稿を楽しんでいただけたならとても嬉しく思います。
最後まで読んで下さって本当にありがとうございました。