巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

WUG楽曲 ライナーノーツ #28 Character song series 片山実波編

 『Wake Up, Girls! Character song series』三人目は……
WUGのWonder Sunny Girl(驚異の太陽小町)片山実波のキャラクターソングシリーズ。


…太陽娘にしようかと思ったんですが、実波と田中美海さんは和装がめっちゃ似合う方だと勝手に思っておるので和のイメージが強い『小町』という語を当ててしまいました。
まぁ、おっさんの妄言という四方山話をつらつらと書き殴っても仕方ないので本編へ。

 

 

 

 

 歌と魚とハダシとわたし/片山実波(CV:田中美海)

 

 

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 『歌』は、実波のストロングポイントでもある民謡で鍛えられた歌唱力。『魚』はそのままの食物でもあり、食という行為にも連想され、彼女が生まれ育った水産都市である宮城県石巻の事でもある様にも捉えられる。
歌い出しの歌詞にあるかまぼこ(笹かまぼこ)も石巻の名産品。2番の詞にある魚のDHAソウルフードのDNAを掛ける言葉遊び的な要素は面白い。

そして、ハダシは素の実波自身=わたしを指す言葉だろう。前述の魚をまた持ち出すが魚は海の恵みでもある。実波の名の字にある波の字と彼女に魂を吹き込む田中美海さんの名にある海の字。
海と連想、直結する語との繋がりもそうだけれども両者に共通しているもう一つの要素、圧倒的な『陽』の因子もこの楽曲からは感じられるのである。

 

 歌とお日さまと おいしいものへの感謝と

 ハダシと美しい自然と それからずっとわたしは仲間たちと


 ―片山実波(CV:田中美海) 『歌と魚とハダシとわたし』より引用


 それらを踏まえてこの楽曲を捉えていくと、片山実波という人物のバックボーン……彼女の精神的支柱への賛歌でもあり望郷の念を謳った楽曲だと言えるだろう。
この節々はそれを象徴している箇所。そして、片山実波と田中美海という存在を結ばせた縁への感謝も込められている様に思えても来る。

 


 そして……片山実波がこの楽曲のジャケットで着てる衣裳を着ている田中美海さん。

 

 


 この衣裳は片山実波と彼女に魂を吹き込む田中美海さん両者の縁の繋がりの強さを証明する重要なファクター。2015年に開催されたWUGの初めてのソロイベントにて、田中美海さんは実際にこの衣裳を纏って出演された。そして、衣裳を作られたのは田中さんのお母様のお手製による物だった。単純なキャラクターとの繋がりだけではなく衣裳に想いを魂を込めて共に在ろうという田中さんの心意気と片山実波への縁の感謝が在ったと思える。

 

 

 

 

 それいけオトメ/片山実波(CV:田中美海)

 

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 軽妙なロックサウンドと田中さんの溌溂した歌声とが絶妙な合致具合が青空の下を全力疾走しているかの様な疾走感と爽快感を醸し出す。元気溌溂、天真爛漫な片山実波のパーソナリティを印象付けさせる奇を衒わないド直球的ガールポップテイストの応援ソングに仕上がった楽曲。これもまた実波と田中さんの圧倒的な『陽』の輝きを見せ付ける楽曲だ。詞にある『未来を照らす』は彼女達の導き、照らすチカラを象徴していると思える。


 頑張っているキミが 私のパワーになる

 なんだか ねぇ! こういうのワンダフルだよねっ!


 ―片山実波(CV:田中美海) 『それいけオトメ』より引用


応援対象に対し、純然に背中を押してあげるようでもありその相手に対して負けない為に自分を高めようとする清々しい闘いの歌でもある。
ライバルへの清々しい想いを謳う楽曲という括りの系譜で言うと、田中さんがユニットとして歌う『プラチナ・サンライズ』と同じ系譜に連なる様にも思えるのだ。
上記の節はそれを証明している歌詞ではないだろうか。


 曲題にある『オトメ』という語。これは様々な解釈が出来る語だと思う。
続・劇場版・後編で実波の大切な御守りを渡した久海菜々美であったり、軌跡を共に行くWUGメンバー、田中美海さん、そして…実波自身。『オトメ』というのは限定した特定の対象ではないのだろう。


 それいけオトメ キミなら絶対に大丈夫

 もし信じられなくても 私が信じてる

 とびだせオトメ せーので出発進行だ

 キミが迷わず見つめる未来を照らすよ


 ―片山実波(CV:田中美海) 『それいけオトメ』より引用


 実波から放たれる圧倒的な『陽』の輝き。彼女はその輝きで関わる人達全てを照らせると本気で心の底から怖いほど純粋に信じている。
その穢れ無き純然な魂と信念が片山実波の魂の輝きの強さであり、彼女が信じる幸せのカタチなのだと思える。

 

 

 

 ぽんとPUSH! もっとSMILE!/片山実波(CV:田中美海)

 

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 前二作にて踏襲されている軽妙かつ明朗な楽曲の根本となる雰囲気は変わらないものの、変化の幅と奥行きはとんでもなく広くて底深い。
民謡のエッセンスを感じさせる『歌と魚とハダシとわたし』、正統派ガールポップ調の『それいけオトメ』。そして、今作ではヒップホップ調という変化球を放り投げて来た。
実波と言えば『食』。そのイメージで楽曲の雰囲気を例えていくと、和食から洋食へと来て今作は香辛料たっぷりな南国料理がテーブルに並べられたと言うところか。
何でも美味しく食す実波と、颯爽と何でもこなして成果で魅せ付ける田中さんの底深さを感じさせられる楽曲だとも思えてしまうのだ。


 たえない痛みもいつか 海は凪いで

 立ち上がれる日がきっと来るから


 ―片山実波(CV:田中美海) 『ぽんとPUSH! もっとSMILE!』より引用


 これまでの実波のキャラソンの詞ではなかったネガティブな『痛み』という言葉が、この楽曲がもたらす変化という意外性と違和感の『核』である様に自分は捉えてしまうのである。
続・劇場版前篇で実波の台詞に『あの時、あれを乗り越えた自分がいるんだから』という台詞がある。実波にとってのあの時のあれは困難や痛みを伴うモノ。そして、凪ぐは心が和ぐにも掛けているのだろう。
遭った困難と痛みは刻が経って彼女が立ち上がる為に必要な養分・糧となる経験として息づいている。この箇所での静かな波の如く心穏やかで柔和な田中さんの歌声はこの楽曲にまた違う彩りと深みをもたらしている様に思える。


 そして、実波のブレない一本の楔となる『要』となっているのが以下の節なんだ。


 今日はもっとSMILE! SMILE! 元気あげよう

 まあるい地球 ニコニコ絵文字に変えちゃおっ

 キミならきっと出来る

 
 ―片山実波(CV:田中美海) 『ぽんとPUSH! もっとSMILE!』より引用


 『それいけオトメ』の項でも触れたが、実波は純粋過ぎるほどに自らに関わる人達を本気で笑顔を届けられると信じ抜いていて貫き通している。
自分が、片山実波に感じている『強さ』の要となっているのが、如何なる時でもブレないで貫き通せる一途な意地だと思えてならない。


『キミならきっと出来る』。片山実波の最大のサポーターは実波自身でもあるのだ。

 

 


 以上が、『Wake Up, Girls! Character song series』片山実波編のインプレッションになる。
毎度ながら…このライナーノーツは個人の独断と偏見による偏狭な視点にて書いております。
モノの解釈や所感は正解や満点が無い。コレを読んで他の解釈や所感があればコメント頂けると嬉しく思います。視点が違う解釈や所感に触れる事は本当に大切だし、面白いモノなのです。


 おそらく、次回のWUG楽曲ライナーノーツ記事は間が空き、来年になってしまいますが……無事投稿されたら読んで下さると幸いであります。

 


 今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。