『Wake Up, Girls! Character song series』二人目は
久海菜々美のキャラソンシリーズについて書いていこうと思います。
毎度の事ではありますが……解説・考察とは程遠い妄想の垂れ流し感満載の文章になってしまうと思います。当然、ここにこれから書き殴るモノが正解、最適解などと言うつもりもありません。
あくまでも俺個人が感じたインプレッションを書き殴った一つの楽しみ方として読まれると幸いであります。
オオカミとピアノ/久海菜々美(CV:山下七海)
曲題の『オオカミとピアノ』が意味するのは、菜々美のイメージアニマルとなっている『オオカミ』。『ピアノ』は彼女が研鑽を重ねて来た特技。抽象的なイメージで言うとどちらの語句も菜々美には欠かす事の出来ない重要なファクターである事が言えるのだろう。そして、ファンクテイストな曲調にファンシーな詞、そこに山下七海さんの魅惑の表現力&スイートボイスに艶っぽさと中毒性が加わる。喩えるなら、鍵と鍵穴が見事にガッチリと嵌まるかの様でありこれらの組み合わせが弱いワケがなく、WUG楽曲随一のキラーチューン……
理性を爆散させ“魂を喰らう”楽曲。
そう……自分はこの楽曲に魂を喰われ、山下七海さんを特推しするに至るのであった。
彼女に落とされた経緯について書き出すとまた理性が爆散し、ただでさえまとまりのない駄文が更に酷くなってしまいのは確定であり記事の方向性から脱線してしまう本稿では割愛させてもらう。
興味が湧きましたらこのライブ参戦レポ内での『オオカミとピアノ』の項をご覧下さいwww
で、この楽曲で最も強烈なインプレッションを放つのが『シャンシャンシャンシャン!』の詞。
ちなみにこの言葉は上野のパンダの名前……ではなく、菜々美が目指している光塚歌劇団のモチーフとなっている宝塚歌劇団の公演の最後に出演者が手に持っている小道具の名称の事。
ライブに於いてはこの『シャンシャンシャンシャン!』の大合唱で一気に場の雰囲気が魅惑の領域へと様変わりされてしまう。山下七海さんの、シンガーでもありコンダクター(指揮者)としての真骨頂を発揮する楽曲でもある。
星空のシャンデリア 光塚の調べ
うたかたの夢 すみれのような
甘く心酔わす ほほえみよ
―久海菜々美(CV:山下七海) 『オオカミとピアノ』より引用
前述にある様にファンクテイストなメロディとファンシーな詞がミュージカルを意識させる構成となっている。ここの節々は菜々美の夢と憧れである光塚への想い(ロマンチシズムな部分)を色濃く表していると思える。
星空、シャンデリア、光塚の調べが意味しているのは菜々美が夢見て目指す場である光塚の輝くステージなのだろう。そして気になるのは『すみれ』。おそらく菫の花を指していると思う。
菫の花言葉の意味の一つは『誠実』とある。誠実に夢と向き合い研鑽している彼女に宛がっているのかとも解釈出来る様に思えなくもない。
Aメロ、Bメロ、そしてサビへと、物語が進行していく様に曲のテンポが変化しているのも中毒性を加速させる要素。そして、間奏に台詞があるのもまた特徴的であり、この要素もミュージカル調楽曲というインプレッションをもたらしている。
この楽曲のラストは菜々美(山下さん)がオオカミの遠吠えの様な雄叫びを発する。
遠吠えはオオカミの習性の一つである。天を仰ぎながら、独特の調べで長く鳴き声を上げる。オオカミが遠吠えをする時そのすべてに意味があると言われている。その意味の一つに自分の縄張りを知らせるというのがある。
暴論は承知しているが……この場合、菜々美が想い描いている夢が縄張りに相当するモノだと自分は思えてくるのである。
snuggery/久海菜々美(CV:山下七海)
曲題の『snuggery』とは居心地の良い場所という意味を持つ言葉。
久海菜々美にとっての『グリーンリーヴス』と『Wake Up,Girls!』は当初抱いていた彼女が目指す夢へのただの踏み台という認識ではなくもう欠く事が出来ないソウルプレイスへと変わった。
キャラクターソングシリーズ2のリリース時期は2016年の9月。劇中での時間軸と繋がっていると見るなら続・劇場版後篇『Beyond the Bottom』の後。即ち『BtB』での菜々美の心情を謳う楽曲という認識で捉えるのが自然と納得出来る。それを象徴しているのが、山下さんの叙情的で柔和な歌声ではないだろうか。この要素は前作『オオカミとピアノ』とはまた違う彼女の魅せる力の一端であると思える。
菜々美にとっての『絶対的な夢』である光塚歌劇団への軌跡。詞にある『私の道のりはひとつ』はその最たる想いだろう。けど……他のメンバー達の変わろうとする為に一歩踏み出していくのを間近で見て彼女の心情は揺れ動き、前述にある様に菜々美の中でWUGが居心地の良い欠く事が出来なくなった居場所へと変化していく。『帰りたい場所が出来てしまった』というのは彼女を変えるきっかけとなった『Wake Up,Girls!』というグループ、その根幹となる六人の仲間達も含まれていると感じられる。
この手に残る ぬくもりが優しくて
声にならない 心が叫びだす
―久海菜々美(CV:山下七海) 『snuggery』より引用
菜々美の手に残るぬくもりは彼女の行く道(光塚受験)を応援する為に、自分が最も大切にしている『御守り』を手渡した片山実波の手のぬくもり、そしてグリーンリーヴスの皆の想いではないだろうか。菜々美はその『御守り』が実波にとって大切な物だという事も知っている。離れ離れになっても魂と絆は消えない。
『御守り』を手にしてWUGでの軌跡を思い返して空港で号泣する菜々美の姿からは単純な声での叫びではない魂・心からの叫び……声にならないというのは菜々美の慟哭。菜々美の叫びに呼応するかの様に『心が叫びだす』の節で叙情的だった山下さんの歌声が力強いモノとなる。ここはこの楽曲で二つあると俺が勝手に思っている『要』の一つ目だ。
ひとりじゃない 私の夢 Say Hello
これからはそばにいつも誰かがいてくれる 熱を帯びて
いつかの夢 わたしの夢 Say Goodbye
今だけは今しかない 夢を追いかけたいよ
また迎えに行くから 待っていてね
―久海菜々美(CV:山下七海) 『snuggery』より引用
落ちサビからラスサビへとこの楽曲のクライマックスと二つ目の『要』を成す箇所。冒頭の節『答えは初めから決まっていた』の節での菜々美の『答え』がこの節々にあったと感じられる。
自分で決めた事。WUG一本で頑張ると決めたと菜々美は言った。今までに追い求めた夢は勿論大切だが今の刻でしか追えない夢も大切。菜々美が決断したのは後者ではあるがもう一つの夢を置き去りにしたワケじゃない。
何時になるか分からないが必ず迎えに行く為の『さようなら』で、もう一つの 『snuggery』≒居心地の良い場でもあり、必ずしもその場というモノはただ一つだけではなく何個あっても良いモノなんじゃないかと思えてならないのである。
ドラマチックを君と/久海菜々美(CV:山下七海)
曲調の方は、跳ね飛びながら走るかの様に軽快なアップテンポで奇を衒わない直球的なインプレッションを抱かせる。これは『迎えに行こう』という菜々美の想いを乗せるこの楽曲のテーマを直情的に表現する要素なのだろう。
『オオカミとピアノ』での魅惑的な要素、 『snuggery』での叙情的な要素とはまた違う要素もあるが、双方の要素も感じられる楽曲だとも思える。
そして、この楽曲は『snuggery』の系譜を継ぐ楽曲でありアンサーソングとして自分は捉えている。
その最たる要因となっているのが曲題や詞にもある『君』という語句だ。『君』という存在は実際の人物を謳ったのではなく過去の菜々美自身の様に思えるのである。『今』抱いている想いは当然大切だが、『過去』に抱いていた想いも大切。どちらの想いが欠けても現在の久海菜々美の存在は成立しなくて、それぞれ独立確固された過去と今の想いがシンクロしていく楽曲の様に思えるのである。
『過去』の菜々美と『今』の菜々美との想いが交錯している模様を1番サビ前にある節『瞳』と2番サビ前の節『手』が描写の核を担うモノだと思えて、互いの熱を共に感じ新しい朝=未来へと進んでいく。曲題のドラマチックとは劇的という意味のある語だ。その迎えに行く事は彼女の中に於いては劇的でありたいから不安と期待も楽しみつつ迎えに行ける事を望んでいる様に思えなくない。そう、この両者の物語は単独では成立しない『君の助演』が必要不可欠なんだと。
つぎつぎ溢れた願いなら この両手じゃ足りないな
一度駆け出した思いは もう 止められないよ
ひとりでも未来描けたけれど 君がいなくちゃ叶えられないよ
Friends,いまドラマチックを君と 劇的な明日が ほら待ってるから
迎えに行こう もっと もっと
―久海菜々美(CV.山下七海) 『ドラマチックを君と』より引用
新章前日譚として描かれた『エターナル・センシズ』にて、菜々美は『とにかくアイドルを極める』とアイドルとしての夢を語った。その溢れる想いは今の菜々美だけの両手じゃ足りない。そしてもう止まる事も出来ない。
溢れる想いをこぼさない様にする最善の方法は過去の『君』=『過去』の菜々美の想いが必要。ここはこの楽曲の『要』を成す箇所であり 『snuggery』のアンサーでもあると思える。
と、いう事でキャラクターソングシリーズ久海菜々美編でした。
このWUG楽曲ライナーノーツシリーズも残り6回。本当はもっと早いペースで書ければ良いのですが…(開始から二年半も経ってしまった…)ただ、今までもこれから最後までも一回一回手抜きせず、自分なりの本気の想いと魂を込めて書いていきますので、宜しければお付き合いしていただければ幸いであります。
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。