巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #39 Magical Melody

 

 

 

 Magical Melody/TRINITYAiLE with 初音ミク


 2022年8月10日に配信された『IDOLY PRIDE 生放送』内で、初音ミクとのコラボレーション企画の報が告げられた。このコラボ企画への参加アーティストが『あの』初音ミクというのは、まさに晴天の霹靂と言っても過言では無い衝撃だった。

本曲は、『IDOLY PRIDE』と『初音ミク』とのコラボレーション企画にて発表された楽曲。
歌うのは、TRINITYAiLEと世界的な人気を誇るバーチャル・シンガー初音ミク。音源はこの他に、初音ミクのソロver.(ショート尺)と、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album[未来]』に収録されたトリエルのみで歌うTRINITYAiLEver.がリリースされている。

 曲調は、トリエル楽曲の定番とされる(注:個人の所感)アップテンポのデジタルポップ調。そして、このコラボに通じているテーマとされる『巡り逢いの奇跡』を盛り込んだ歌詞。軽妙洒脱で煌びやかなメロディと、純然な伝えたい想いと感謝を謳う詞が絶妙な調和となってリスナーの感性を揺さぶる。

ミクも出演し、本曲を題材にしたイベントストーリー『未来とつながるマジカルメロディ』での瑠依によるこの言葉に本コラボ企画の精髄があったと思える。

 

 体の有無や技術なんて関係ない。私達には歌があるんだから。

 

 

 形も刻も距離も超えられるバーチャル・シンガ―であるミク。しかし、彼女は人と直に触れ合う事は叶わない。一方、あらゆる制限はあるけれど、人へ寄り添えて触れられる事が出来るトリエル。血の流れる者達とそうじゃない者という対極に在る両者だが双方共に完璧な存在ではない。それでも、彼女達には、多くの人へ伝えたい想いとPRIDEを『歌』に乗せて伝える手段がある。

 瑠依、優、すみれ、そして…ミクの純然な偽り無い想いと魂。彼女達の想いを汲んだ奇を衒わないシンプルな歌詞。それらが組み合わさり、巡り逢えて、境界を超え、魂が繋がれる奇跡を起こす魔力の宿った謳へ昇華した……自分はそう思えてならなかったのだ。


 そして、この楽曲については、もう一つのバージョンである『TRINITYAiLEver.』へのインプレッションも書き記しておきたい。

 こちらのバージョンでも、根幹になっている『巡り逢いの奇跡』への感謝は変わらない。ただし、その対象は、コラボ相手のミクではなく、星見プロとの絆への感謝を謳っている様に思える。東京編での彼女達の軌跡を見るとなおさらそう思えてしまうのだ。

 東京編におけるトリエルの軌跡についての詳細は長くなってしまうので省かせてもらうが……OTONA達の都合と策謀に翻弄され、裏切られ、貶められる…でも、新たな絆が彼女達の『翼』を朽ち果てさせず再び舞い上がるチカラをもたらしてくれた。詞にある『あなた』を星見プロの皆へ当てはめると、その『絆』は、瑠依、優、すみれにとっては掛け替えの無い『希望』だったに違いない。

 三人は信じて待っていてくれた星見の皆へ感謝を伝えたい。三人は『私達には歌があるんだから』と瑠依が言った様に歌でもって感謝を謳った。勿論、感謝を伝えたい対象は星見の皆だけじゃない。三人を取り巻く全ての刻と縁への感謝も込めて未来の刻へと羽ばたいていく。そんな決意表明と覚悟をこのバージョンからは強く感じられたのだ。

 

 

 

 

 

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #15 どりきゅん編(暫定版)

 どうも。IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語るお時間の復活でございます。(二度目)


 そんな復活の刻において、これから踏み込んでいく題材は……BIG4編で登場を果たしたBIG4の一角・『どりきゅん』。

 

 

と、言ったものの……現時点(BIG4編・第1章50話)までで、彼女達の全貌は明らかになっていないので、取り敢えず暫定版と称し…この時点までで感じられたインプレッションに基づいて考察していこうと思う。

 

 これまでの考察同様、自分の勝手な暴論&妄想に基づいたモノで恐縮ですが…是非ともお時間が許されるのならお付き合いいただければ嬉しく思います。

 

 

 BIG4・どりきゅんとは?


 作中における『BIG4』という存在は、『VENUS PROGRAM』のランキングで上位に座する存在。所謂立ち塞がるボスグループ的な立ち位置で、『どりきゅん』はNo.3の座にいる小南来夢(CV:野中藍)と大須賀れもん(CV:石川由依)による二人組のグループ。ちなみに彼女達は幼馴染との事。

彼女達の存在が明らかになるのはBIG4編の10話。星見プロにある企画書が届き、その内容は休止していた活動を再開する事と、復帰記念と称し彼女達と直に対戦する『BIG4チャレンジ』というイベント開催が決定したというモノ。で……そのイベントに月のテンペストが挑戦していく流れにストーリーは進展していく。

 どりきゅんは、どういうグループなのか?公式の設定と話の中ですずの言によると、目的を果たす為には手段を問わない過激なやり方に批判が集中するが、強烈なパフォーマンスに熱狂されるファンが多いグループ。ただ…あまりにもそのやり口が過激過ぎて、事務所から活動を休止させられていた。その過激さの一端は、ライブバトルで対戦相手を潰し過ぎたのがある。その影響で、共演NGにされ、彼女達を御する為に無理矢理に活動を休止させたと。

 ただ…そんな中でも、彼女達は止まる事が無かった。独自に動画チャンネルを立ち上げて様々な企画へ挑んでこれまで通りの過激なスタンスを貫いていく。挙句の果てには、『自分達と戦わないアイドルとその事務所は腰抜けだ』と煽っていく有様。

と、まあここまでコケにされた各事務所とアイドル達はそんな挑発に乗って、どりきゅんに戦いを挑んだが……そこは、BIG4の一角。圧倒的なチカラ…『暴力』によってことごとく返り討ちにしていく。彼女達に挑んだ月ストも例外ではなかった……

 と、まあコレ以上書いていくと長くなるのでこの辺で一旦まとめるが、目的を果たす為には手段を選ばず、立ち塞がる者は容赦なく叩きのめし、敗者や弱者を慮る心情も無い。その一方で…ライブバトルという実戦の場を通じて、更なる成長を目的にする求道者的な面もある……これが登場から月ストとのバトルまでに抱いたどりきゅんへのインプレッションだった。

 

 

 

 覇道を往く暴君


 覇道とは、武力や権謀をもって支配・統治する事。この作品に当てはめると、ライブバトルで勝ち続け、真の頂点に立つまでその力(アイドルとしてのパフォーマンスや魅力)でねじ伏せていく。どりきゅんに抱いたインプレッションから、この言葉がすんなり出て来た。

暴君は、私利私欲を満たすために手段を選ばない暴虐な君主という意味。
BIG4に座しているとは言え、彼女達が作中のアイドル業界を全部仕切っているワケでは無い。でも、その影響力は非常に強く、彼女達をメインに据えたBIG4チャレンジが彼女達のあらゆる欲求を満たす為の手段である事。

彼女達に勝てば、入れ替わって即BIG4の座に就けるというハイリスクを背負うスリル。勿論、来夢とれもんは自分が負けるワケが無いという絶対の自信があるし、バトルでしか体感出来ない快感を一方的に楽しみたいってのもあるだろう。相手側の純然な想いや野心をも自分達の糧にしようとする傲慢な根端が垣間見える事から、暴君という言葉を当てはめさせてもらった。

 アイドル系の作品で適切かどうかは分からないが……前述した手段を選ばず野心を満たそうし、敗者と弱者へ一切配慮の無い彼女達の傲慢なスタンスは悪役として捉えている。目的達成の為に手段を選ばない点では東京編の悪役だった姫野さんと通じるモノがある。

ただ、手段は選ばないけど、他人を陥れたり何かの策謀を巡らす様な事は無かった。それと、描写が無いので分からないが、ライブバトルでも格下とは言いつつ正々堂々と戦っている。あとは、負けた琴乃の気概に感心して、アドバイスを送ったり懐に飛び込んで来た彼女を受け入れたり、四人の月ストの闘志と覚悟に敬意を払ったりなど、見どころがあれば情をかける部分もあった。

来夢とれもんにとっての敗者と弱者は、単純な言葉の意味ではなく徹底的に打ちのめされて負けても、諦めずに戦う意志と行動しない者を指している様に思える。それを考えると、立ち塞がる高い壁であり超えたい存在という点は敵役という認識を抱いた。

 来夢とれもんの信念は、圧倒的な力(あらゆるパフォーマンス力)でもって相手を捻じ伏せ勝ち続ける事。それが、どりきゅんの存在価値であり貫き通しているPRIDE。夢を潰され、未来の刻まで奪った数多のアイドル達から恨まれてる事を知りつつもその信念がブレる事は無い。

 これらを総評してみると、彼女達の思想の根幹を成しているのは『弱肉強食の理』ではないだろうか。ただし、バトル系の作品じゃないし、この項で挙げた例えが適切ではない事は自覚しておるが……自分の解釈の都合上そういう解釈すると分かり易かったのでそうさせてもらった。

 

 

 

 夢と未来を語る為に必要なチカラ


 46話。どりきゅんは、月ストとの再戦に勝ち、ステージへ乱入して来た琴乃に月ストの解散を告げる役を押し付けた。だが、月ストのパフォーマンスを観て真に求めてる強さを見出した琴乃は迷っていた。更に、渚からはどりきゅんの相手の夢と未来を潰す強さの無意味さを彼女に訴える。そんな琴乃へ二人が放った力と勝利への並みならぬ拘りを象徴していると思われるのが以下の言葉。

 

 


 強くなくっちゃ、生き残れない。

 夢も、未来も、想ってるだけじゃなんの意味もないわ

 誰にも文句を言わせない強さがないと


 事務所や業界に、いいように使い捨てられるだけよ

 

 特にお前らみたいな理想ばっか掲げてる、『弱い奴ら』はな

 

 

 

 これから先の物語か、番外編で描かれる可能性が考えられるので、現時点では個人の妄想と予想でしかないが……(そもそもこの考察記事は暫定版)彼女達が、力と勝利が全てといった思想に傾いた要因だと考えられる。元々、アイドル産業を世界一のエンターテインメントにしようという志は抱いており、真摯にアイドルに向き合って努力を怠らなかったってのは今も変わってなかった。様々なアクションも異常に過激なモノではなかったかもしれない。

シンプルなチカラを信奉し、弱者へ落とされる事への恐怖を抱くまでに至ったのは、おそらく、過去に理不尽な目に遭ってトラウマを刻まれたか、もしくは理想を語って単純に嗤われたのか。現在の彼女達が、覇道の道を往く原動力となっている燃料は、何が何でも世間や数多の人を認めさせようとする執念なのだろう。純粋な想い=綺麗事だけじゃ理想は叶えられないと。

何もかもが上手くいかない琴乃にとって、実際に戦って感じたその力と強さは異質過ぎたが、物凄く魅力的で惹かれた。ただ、それは琴乃が真に求めていた力と強さではなかったが。渚が一方的に相手を捻じ伏せるだけの強さを真っ向から否定したってのも効いてた。

あと、来夢とれもんが自分達の所に飛び込んだ琴乃を受け入れたのは、負けても諦めず強くなりたい覚悟に見どころを感じて、過去の自分達の姿とダブって見えたのかもしれない。

 

 

 

 取り敢えずの締めとして……


 暫定版と銘打った様に、まだどりきゅんの物語は終わっていない。
ここまで書き殴ってみたモノは、現時点までで感じられたインプレッションを基にして考察してみただけ。この先に展開していく物語で、どりきゅんの二人がどういった立ち回りをしていって……どの様な負けっぷりを見せてもらえるのかは非常に興味深いモノがある。

両グループの真の決着、来夢とれもんの真意がどこまで描かれるか?物語が締まった時に、この考察の続きを書き殴っていこうと思う。


 締まりがよろしくはないが……この辺で一度筆を置かせていただきます。

 

 

 

 

魂とPRIDEを一つにーBIG4編・46話~50話を斯く語る

 確証は無いし、コレと言った演出は無かったが…話の締め方から(勝手に)解釈すると、おそらくこの50話でもって、BIG4編・第1章のピリオド(区切り)ではないかと感じた。

観終わって率直に感じた事は、予想していた通りの落し所になったなというモノ。しかし、その落し所に対して、腑に落ちたインプレッションは抱けなかった。でも……その物語を否定し切れない要素もちゃんとあった様に感じられた。

そんな物語を観て感じた諸々の所感をこれから書き殴っていこうと思う。

 


 ※本記事はメインストーリーの内容について多数のネタバレを含んでおりますので、ストーリーをご視聴の上でご一読下さい。所感につきましては、個人の主観と偏見が多分に含まれた末に導き出したモノ。当然ながらここから書いたモノが絶対に正しいとは言えませんので、あくまでも個人の所感の一つとして捉えていただけたらと嬉しく思います。

 

 

 

 46話~50話までの展開


 肯定出来た面と否定する面を語っていく前に、まずは46話~50話まで描かれた展開についてざっくりと触れていこうと思う。

 四人の月ストと『BIG4』の一角にいる『どりきゅん』による、負けた方のグループ解散を賭けた再戦は、月ストの敗北という結果に終わってしまった。

月ストの健闘を称えつつも……約束通り彼女達にグループ解散を宣言しろと迫るどりきゅん。そんな中、ステージ袖で両グループの戦いを見届けていた琴乃がステージへと乱入して来た。元センターのお前の口から引導を渡してやれと迫る中、琴乃は四人の月ストの解散を宣言し……自分が加入して五人の月のテンペストとして再結成すると宣言する。

 何やかんやあって寮に戻った月ストの五人。今後の事や、急な琴乃の復帰宣言に複雑な思いを抱く四人は、沙季の提案でお互いに肚を割って思いの丈を曝け出す事に。また五人揃ってグループとして活動するにはそいつが条件だと。

四人が肚の内に秘めていた琴乃への想い。それは……琴乃への怒りと悲しみ、彼女がもがいて抗う姿を間近で見ていながらも寄り添えて力になれなかった事への悔しさもあった。琴乃も、焦燥感と停滞感に苛まれ身近にいる四人の強さや寄せてくれる想いから向き合う事を避けてしまった事を恥じて詫びて、四人が曝け出した想いを全て受け止めた。

 再結成を果たした月ストは記者会見を開く事に。その会見の前に、五人はレッスンをする事に。琴乃、渚、沙季、すず、芽衣は互いの強さと成長の証を肌で感じた。離れて途切れてしまった刻を再び繋げる様に、五人はパフォーマンスで対話を果たせた。
 
琴乃は、この一連の騒動の原因は自分自身にあるとして、決着の意味を込めて一人で会見の場に赴こうとしたが…五人全員で出なきゃ駄目だと四人から諭される。で、会見当日。再動の意味も込め、デビュー当時からの衣裳を着て臨む五人。厳しい声も浴びせられたが、五人は毅然とした応答で決意と覚悟を語った。

 そんなこんなで会見が無事に終わって……今後の行方、特に、どりきゅんともう一度戦う覚悟をあるか?と牧野から問いかけられる。五人は、超えなきゃいけない因縁深い相手として、戦う意志と覚悟を示した。決意を語る五人の双眸はより輝き、言葉にも力強さが漲っていた。

そして……四人は琴乃に『おかえりなさい』と彼女の帰還を心から感謝し、琴乃も四人の想いに心打たれ『ただいま』と微笑んで返した場面で締められた。

 

 

 落し所の感性のズレ


  50話まで観て、腑に落ちきれなかった最大の要因になったのが、長瀬琴乃の立ち振る舞いだった。その有様は『自分勝手が過ぎる』という沙季の言に集約されていた。

実際のところ、彼女のBIG4編を通じての行動が身勝手そのものでしかなく、46話での振る舞いが決定打になってしまった。コレをどう捉えるかで賛否が分かれたと言っても過言じゃないと思える。自分は、完全な否定とまではいかなかったが、前述した様に腑に落ちきれなかった点もあったのが率直な所感。(茶番と評した人もいたみたいだが……分からんでもない)

 

ただ、琴乃が言った様に、再結成するなとは一言も言ってなかったし、条件も指定しなかったどりきゅんサイドにも落ち度はある。(呆れてたが、おそらく琴乃がどうにかして月ストへ戻る事を見越してたとは思う)

 

 話を戻して……月ストのパフォーマンスをステージ袖から見て、圧倒的なチカラで相手を捻じ伏せる強さに疑問を抱いて、自分の選択が間違いだと思い知らされた描写になっているが、そこに至るまでの伏線が貼られてなくて急展開過ぎた。四人が琴乃への想いをパフォーマンスへ込めた。琴乃はそれを観て魂を揺さぶられたと言えば確かに印象は良いのだろうが、ちょいと説得力が弱いんじゃなかったかと。

コレは個人の好みでしかないし、仮定話なんだけども……頑固な琴乃に適した方法は、直に戦って分からせる描写が良かったと思える。チカラを求めた者が別の異質なチカラでもって打ちのめされて改心して復帰と言った流れだったら、『否』寄りの所感を抱く人は多くならなかったかもしれない。

 全体のバランス崩壊とまで言うつもりは無いが、物語の説得力が足りなかったと感じられたのは、シナリオの構成を考える人の見立てが甘かったのではないだろうか。当初の想定より物語が膨らんでしまい締め方の見当がつかなくて、打ち切り作品の締め方みたいな急展開になったと。その割を食って、視聴者のヘイトを一斉に向けられてしまったのが琴乃だった……

 当然、視聴者を甘く見ていて手を抜いたワケでは無いってのも分かるし、物語を観た人全員が納得して感動するってのも有り得ない話。ただ……その落し所に納得出来なかった人が多かったのも事実。

 

 

 自分勝手という業を背負う者


 全編通じて、琴乃の振る舞いを好意的に捉えるなら、圧倒的なチカラへの渇望と、四人の月ストが魅せ付けた理想としたチカラとの葛藤に揺れ動く心情を描いていた。だが、その一方で、琴乃の思い込みから、一方的なグループからの脱退からあっさり復帰という自分勝手な流れは、前の項でも触れたが視聴者のヘイトが彼女へ向いてしまった最大の要因でもある。

ヘイトを向けられる演出や、その役割を琴乃が担っていたとは言え、特に琴乃、月ストファンからすれば、長い間の不遇な扱われ方はやっぱり気が気じゃなかったと思う。イベントストーリー(音色の輝石が紡ぐ未来)にまでその不遇要素が持ち込まれてたし。

 でも、琴乃の自分勝手な行動は、数多の人達に多大な迷惑と心配をかけた裏切り行為。渚、沙季、すず、芽衣だけじゃないし、牧野もそう。更には、敵とは言え強くなりたいという想いを汲んで懐に飛び込んだ彼女を迎え入れ、鍛えてくれたどりきゅんの想いまで踏み躙った侮辱にも繋がっている。強い責任感による決意と覚悟から起こした行動ではあるが、琴乃自身も自覚した様にコレは到底許されるモノではない。

本気で思いやってくれる仲間の想いを汲んでやれなかった事、心配をかけてしまった事、巡り逢ってから積み重ねた刻、絆、強さから琴乃は目を背けて置き去りにしてしまった。琴乃がちゃんと向き合わなきゃいけなかったのはそこだった。

 でも……人間、特に琴乃の様な思春期の子の心情は、いろいろとブレやすいモノだと思う。表に出ない様にする子もいるが、心の中ではブレまくっているはず。そもそも、人の業にまみれたキャラ揃いなこの作品に、非の打ち所がない聖人君子を求める方がどうかしてる。(個人の勝手な偏見からの印象)

更に言えば、琴乃はいろいろなモノを背負って現在の刻に生きている。月ストのリーダーとセンターという役割だけじゃなく、伝説の域まで昇華したアイドルである麻奈の妹、川咲さくらの存在……そんな宿命を背負って全く心情がブレずに生きていくのは無理に等しいって話。

 散々触れた様に、琴乃の自分勝手さは背負ったモノの大きさを加味したって擁護しきれない許されざる行為。それでも、迷ってもがきながらも前を向いて駆け続けたからこそ、最後に本当に大切なモノを取り戻せた。強引に締め括った感は否めないけれど、琴乃のPRIDEが甦る物語に胸が熱くなって腑に落ちたってのも揺るがない事実だった。

 

 

 肚割って本音で話す事。


 前にも書いたが、四人は、どこか琴乃を特別な存在として線引きし、これまでの四人は無意識に『我』を抑えてしまったとも言える。琴乃の方も、クソ真面目で責任感の強さ故に自分が支えなきゃという想いがあった。ただ、それは一人で背負い過ぎてしまう琴乃の悪癖でもあった。

その悪癖を拗らせてしまい、琴乃は自分勝手な行動に出てしまった。同じ刻と場にいるのに、同じグループのメンバーなのに、琴乃だけ別の場所で独り戦わせてしまった。四人は、それが凄く悔しかった。悲しくて寂しかったし、もっと同じメンバーとして戦いたかった。全てを共有して、真の意味で一つのグループで在りたかったのだと思う。

琴乃は背負った責任を全員に委ねなきゃいけなかった。渚、沙季、すず、芽衣は、琴乃にもっと踏み込んで本音を曝け出さなきゃいけなかった。それに気付くまで、幾度もすれ違って随分遠回りもした。伝えたい本当の想いを打ち明けて前へ進む為に対話する。

 怒り、悲しみ、悔しさ、寂しさ、五人一緒に積み重ねて来た刻の重さ……それは、数多の感情を互いにぶつけて受け止める喧嘩だ。個人的にBIG4編・第1章の最大のキモになっていたのは、月ストが真の意味で一丸になって、何でも言い合えるグループへ進化する事。それにはこの喧嘩は避けて通れない道。

 魂の告白を経て、お互いの気持ちが同じ方向に向いて本当の意味で対等になった。ちゃんと喧嘩出来て、本音を曝け出して、互いへの愛着は深まって、ようやく真の意味で一つにまとまった月ストは互いの壁を越えて再起を果たせた。この件をきっちり描いてくれた事は素直に評価したいと思う。

 

 

 おかえりなさいとただいま。そして……


 一切の遠慮の無い本音でぶつかり合った『喧嘩』の儀式を乗り越えた五人。
再結成を果たした月ストは、久々に五人揃ってレッスンをする。四人は、どりきゅんの懐に飛び込んで鍛え上げられた琴乃の個のチカラの強さに驚愕し、琴乃の方も自分がいない間、必死に抗って戦い続けた四人の魂の強靭さを思い知らされた。

まあ、良いシーンではあるのだけれども……この件、もっと早い段階でやるべきだったと思う。差し込むのは、どりきゅんとの再戦前か、四人体制になってからライブバトルを挑みまくっていた辺りで。私見の域でしか無いが、実際に琴乃vs四人の月ストとのバトルorレッスンでも良いんだけど、初見で四人のパフォーマンスに心揺さぶられ『私が加入して再結成します!』の展開よりは受け入れやすかったのではないだろうか。

 で、ラストシーン。一連の自分勝手さを会見で詫びてケジメをつけて、超えなきゃいけない相手(どりきゅん)への戦いへ闘志を燃やす。そして…五人でしなきゃいけない最後の『儀式』である、渚、芽衣、すず、沙季から『おかえりなさい』と琴乃の帰還を祝福し、琴乃は『ただいま』と心の底からの笑顔で答える。

 

 

 

 一人で背負い過ぎて、悩んで、もがいて抗い、繋がりも断って居るべき場まで捨てた琴乃を、渚、芽衣、すず、沙季は『おかえりなさい』と許し彼女を受け入れた。大袈裟かもしれないが、琴乃はそれを聞いて自分は月ストにいていいんだと思えて魂も救われた……ラストカットでの、感激溢れている琴乃の微笑みはそれを表していたのかなと。

 

 真の復活を遂げた月スト。ここから、彼女達の本当の戦いが始まっていくのだろう。
どんな未来が待っているのか、この五人にしか紡げない物語の続きを楽しみにしたいと思う。

 

 

 

 

再生と破壊の向こう側ーBIG4編・36話~45話を斯く語る

 ―彼女達も『呪縛』に囚われた子達だった。

 


 この物語……それは、先日追加された『IDOLY PRIDE』メインストーリー・BIG4編の36話~45話を観終わって真っ先に浮かんで来たインプレッションがそれだった。

その彼女達とは、BIG4編の主軸となっている月のテンペストの四人。リーダーでありセンターでもあった長瀬琴乃がグループより脱退して、何やかんやの末に(それに至った経緯はこちらの記事で)成宮すずをセンターに据えて、四人体制による新生・月のテンペストとして活動をしていく事に。

大きな傷を負いながらも、それに屈せずに前へ進んでいく事を決断した、渚、沙季、すず、芽衣の魂の再生と戦いの物語を見た所感を書き殴っていこうと思う。

 

 ※本記事では、メインストーリーのネタバレが大いに含んだモノとなっており ますのでご注意下さい。所感と考察につきましては、個人の思考や所感から導き出した一つの考えになっています。当然ながらここから書いたモノが絶対に正しいとは言えませんので、あくまでも個人の所感や考察の一つとして捉えていただけたらと嬉しく思います。
 

 


 アイコン在りきのグループという『呪縛』


 グループでの活動は抑えながら、ソロでの活動や練習に明け暮れる四人。
牧野のバックアップと四人の努力の甲斐あって、持ち歌が一通り四人でこなせる程になった。そんな中、渚はLIVEに出演していく事を提案する。で、どうせLIVEに出るのならライブバトルを仕掛けていかないかと芽衣が問いかける。

沙季が言及していた様に、身内のLIVEでは月ストのファンの多い温かいモノ。それも良いモノだけれど、ライブバトルとなると、相手側のファンや中立的なファンもいて、月ストを見る目は当然厳しいモノになる。しかも今の彼女達はアイドル業界での注目が集まっている状態。

勿論、簡単な道じゃない。どりきゅんに惨敗した時の様にまた深い傷を負うかもしれない。でも、リスクを負ってでも戦う刻だと四人は共通認識を抱いていた。ベクトルを前の方向へ変換させた芽衣の直感から導き出された提案は、そっちの方が何か楽しいんじゃないか的なモノかもしれないが、いつかは踏み込まなきゃいけない領域。

ここでのすずの発言もまた良い。アイコン(琴乃)脱退という最大の危機を乗り越え、結束をより深めた今の月ストの力を試したい。そんな気概を感じさせる。彼女も、芽衣と同じく月ストを前へと推進させていく役割を担っている。


 そんなこんなで、ライブバトルへと積極的に挑んでいく事にした四人。勝ったり負けたりを繰り返すが、一戦毎に一喜一憂するのでなく、得られたモノや足りないモノと真剣に向き合う。そして、彼女達の本気の戦いは、五人の頃とは違って四人四様の良さがあるという好意的な評価を得る。コレは、四人が必死に本気で頑張って来た証明でもあり、確かな手応えとして自信も得る。

この自信を得るというのが、新生月ストには必要な件だったと思える。過去の失敗(=スリクスとどりきゅんに敗北)と、好調なサニピ、トリエル、リズノワに付けられてしまった差との比較に思い悩んでしまって自分達を見失ってしまった。その影響をモロに受けてしまったのが琴乃だった。

 長瀬琴乃は、良くも悪くも紛れもなく月ストのアイコン(象徴)。
そのアイコン(琴乃)が放つ輝きと熱は途轍も無いモノ。良い状態なら何の問題も無いが、悪い状態になってしまうと、四人もそいつに引っ張られてしまう危うさがある。BIG4編で月ストが苛まれていた絶不調は、琴乃の状態(特に精神状態)が極めて悪かった事と結び付く。


『以前の……五人の月ストは、傍から見ると長瀬さんに頼っている、長瀬さんのワンマンに見えていた』

 コレは、対戦した『Day dream』の上川郁実が対戦して感じた今の月ストへの評価。当然、四人がこれまで何もしていなかったワケじゃないし琴乃への無心の信頼はあった。ただ、それは芽衣が言った様に無意識で琴乃に甘えて依存してしまった事でもある。勝手な解釈だが、四人は、どこか琴乃を特別な存在として線引きして、これまでの四人は無意識に『我』を抑えてしまったとも言える。琴乃の方もまた、クソ真面目で責任感の強さ故に、自分が支えなきゃという強い思いがあった。

 琴乃が抜けたという劇的な変化は彼女達に危機感をもたらし、各々の力で支えなきゃいけない生存本能に火が点いてこれまで以上の『我』の開放へと至った。同時に、長瀬琴乃という『呪縛』から四人が解き放たれる刻の幕開けになった。

 

 

 予期せぬ再戦の刻。そして隠された真意


 月ストがライブバトルに挑みまくっていた頃、どりきゅんが生配信でBIG4チャレンジで次の対戦相手を指名した。その相手は…以前対戦した月スト。まあ、再戦する流れになるってのは予想の範疇だったが、それはもっと先の話で琴乃が月ストに戻ってからなんだろうと。まさか四人の月ストに再戦を持ち掛けるってのは予想出来なかった。

しかもこの再戦は負けイベントってヤツ。琴乃抜きでの月ストが勝つ流れは有り得ないし、そもそもやっちゃいけない展開。(実際ちゃんと月ストは負けた)

そこはまあ置いといて。何故、どりきゅんは四人の月ストに死者に鞭打つ行為でしかない戦いを申し込んだ…と言うかはワザと煽る様に再戦要求したのか?個人的には、二つの理由が考えられる。ただ、コレは自分の勝手な考察になるのでそこら辺は注意して読んでいただきたい。


 まず一つ目は、来夢とれもんが『ライブバトルで潰し過ぎた』と言っていた様に、挑んで来たアイドル達を徹底的に打ち負かした挙句、挑んで来る相手が激減してしまった事。単純な話、彼女達が言う通り、本当に挑んで来る相手がもういなくなったのも分かる。しかし……ここで疑問が湧いて来る。

作品には、月スト以外にも当然アイドルはいる。どりきゅんと同じBIG4のサニピ、BIG4に近いランクのトリエル、更にはリズノワやスリクスもいる。何も月ストに再戦を持ち掛け無くても相手はいるワケだ。彼女達の苛烈な闘争心から来る誰とでもバトル上等という気質から、サニピ、トリエル、リズノワ、スリクスに怖れを抱くのは考えられない。ただ、指名してもフラれまくったと言っていた事から察すると、そもそも受けてもらえなかった線が濃厚なのだろう。

それと、ここでは月ストを主軸にしていくというテーマが骨格になっている。他のグループまで介入した展開まで描いてしまうと物語の尺がクソ長くなるからその件までは触れないのだろう。それは、ここまでの物語で、サニピがちょいと出て来る程度で、トリエル、リズノワ、スリクスは全く介入して来なかったのがその証明かもしれない。

 挑んで来る相手もいない。こっちから指名しても受けてもらえない。そんな時に、琴乃が抜けても直向きに戦っている月ストの敗れてもなお戦い続ける気迫に興味が湧いて来た。そんな相手と純粋に戦いたいという闘争本能に火が点いたのかもしれない。

 
 二つ目は、現在どりきゅんにくっついている琴乃の為。
月ストから脱退して、更なる個のチカラを求めどりきゅんの懐へ飛び込んで、共にレッスンをしてLIVEにもくっついている琴乃。しかし、傍で見れば見るほど彼女達の凄みに圧倒されて魅了されてしまってもいた。

おそらく、それは琴乃にとって衝撃的なインプレッションだったのだろう。純然な憧れと言い換えても良い。二人のあらゆるモノを吸収したいと思って近づいたが、想像以上のインプレッションを受けて、二人へのリスペクトへ変換されてしまったとも言える。それが良いか悪いかは問題ではない。いつかは打ち負かさなきゃいけない存在だが、圧倒的なチカラと存在感に魅せられて惹かれていってる感情が釣り合っていない状態。

 そんな琴乃を見て、来夢とれもんはいろいろ思う所があった。二人は事ある度に琴乃に意見を求めた。でも、琴乃は即座に意見を言えなかったし、二人に言われる前に琴乃が意見を言う事も無かった。確かに、技術や体力が向上はしたが、根本が変わっていない以上、コイツ(琴乃)はここにいても意味が無い。来た頃の闘争心や向上心は抜け落ちていた…いわば全てを捨てる覚悟が琴乃から感じられなくなったのだろう。

 そんな折、四人でも戦い続けている月ストの事を知る。彼女達がちょうどいいと言ってたのは、琴乃が抱いてる月ストへの未練を打ち砕いて肚を括らせる事。そして…もう一つ。個人的にはこちらの要素が強かったと見終わった段階で感じられたのが、琴乃を月ストへと追い出す(戻す)事。コレは後述で触れる要素と繋がっていくのでここで詳細は語らない。

 

 

 怒りと悲しみ。そして…決別の一撃


 訪れた月ストとどりきゅんとの再戦の刻と機。どりきゅんに言われて琴乃もその場に来ていた。
琴乃にとっては望んでなかった月ストとの再会の刻……彼女は言う。『今のままじゃ……四人の月ストじゃ、勝てない』と。まあ、全体の展開的に四人で勝っちゃマズいし、そもそもコイツは負けイベントだと思ったのは内緒。

当たり前だが、琴乃の言い草に対して『はい、そうですね』とは言えないし納得出来ない。四人からしたら、勝手に抜けたオマエに好き勝手言われる筋合いは無いって所だろう。すずと沙季は怒りを露わにし、すずをなだめた芽衣も本心では彼女達と同じ心情だっただろう。で、渚だが……琴乃に対して想定外なアクションを起こしこの物語を見た全ての者を驚愕させたと言っても過言では無かった。

 

 

 渚は、琴乃の頬を引っ叩いた。琴乃に対していろんな感情が一気に滾って噴出したのだろう。(引っ叩く前に拳を握る描写があったのでそのまま拳で殴るんぢゃねぇかと思ってしまったが…)言葉を以て対話に臨もうとした。でも、琴乃は聞く耳を持たなかった。彼女が脱退していろいろと悩んでもがいて、抗う四人の決意を軽いモノとして扱われた事にキレたってのもあっただろう…そして、琴乃の信念がブレまくってまともに四人と目を合わせられない情けなさが悲しかった。もう、渚の理性で抑え込める範疇を超えてしまった。あと、ウジウジ甘ったれるのもいい加減にしろという心情もあったかもしれない。

 

 

 琴乃ちゃんが抜けて四人になった私達が ただ弱くなっただけだと思った?

 
 ……ふざけないで


 私達は……私達だって、もう……琴乃ちゃんがいた頃の四人じゃない


 私達は、四人でどりきゅんに勝ってみせる


 そして私は ―長瀬琴乃を超えてみせる

 

 

 勝ちたいのは琴乃だけじゃない。自分達も同じ想いだと。いくら言っても分からないのなら、確固たる結果で示すしかない。頑固な琴乃に一番伝わるのがその方法しか無いってのも渚は熟知している。超えてみせると言い切ったのは、強くなった意志表示でもあるのと同時に、琴乃に囚われていた呪縛から解放されて背中の先が見えた事でもあったのだろう。そんな想いとPRIDEがここでの渚の言に凝縮されていると思える。ここでの夏目さんの声色が絶妙過ぎて鳥肌が治まらんかった。


 そして…いざ決戦の刻。どりきゅんはある提案を持ち掛ける。それは敗者のグループ解散を賭けるモノだった。無茶苦茶な提案だが退くワケにはいかない。負けたら終わりという極限状態で挑む戦いで、月ストは全身全霊をパフォーマンスに乗っけた。この戦いを観ている琴乃へ本気の想いとPRIDEが届けと……それは琴乃が驚愕するほどの成長の証として魅せ付け、五人の頃でも出したことが無い高得点を叩き出した。

 散々触れたが…この戦い、月ストは負ける。五人でも出した事が無い高得点ってのがいい敗北フラグとして効きまくっていた。どりきゅんのパフォーマンスはまさに圧巻の一言。彼女達も、これまで以上の限界を超えた領域でのパフォーマンスになっていて終わった後はかなり消耗していた。来夢曰くいつも以上に熱くなったと。もしかすると、限界領域の先を引き出してくれる期待を抱いて四人の月ストへ戦いを挑んだのかもしれない。

 個人的妄想という事を言っておくが……このバトルに負けた方がグループ解散という提案。
バトル前での琴乃と渚のいざこざで閃いた様な描写になっていたが、おそらくは月ストにバトルを申し込んだ段階で目論んでいたのではないだろうか。それと、覚悟が揺らいでブレてる琴乃への最後通告の意味もあった。

一線を超えて修羅の道へと踏み込む覚悟はあるのか?もしくは、徹底的に壊された(解散した)月ストへどうにかして戻って戦う道へ踏み込むのか?選ぶのは琴乃自身だという事を分からせる為に彼女を戦いの場に連れ出した様に思えてしまう。それは、身を切り裂かれる様な苦痛に等しいが、琴乃が自分で決断して踏み込まなきゃいけない事なのだ。

 

 

 最後に。


 この物語が、どうやってちゃんとした落し所に至るかは、この時点では全く想像が出来ない。目前に迫っている追加分の46話~50話の間で決着とはならないだろう。

これまで以上に打ち負かされ、どん底へと突き落とされた月ストの四人と、繋ぎ止めていた最後の望みまで失ってしまった琴乃。これを彼女達の宿命と呼ぶなら残酷な話。それでも……琴乃、渚、沙季、すず、芽衣の魂とPRIDEという焔は燃え尽きていないのか。敗れて尚、あきらめられないもの。もしかすると、月のテンペストが真に再生する物語はこれから幕が上がるのだろう。

 そして…この五人でしか謳えない歌がある。それは、彼女達にとっての最強の切り札。あえてその楽曲の名はここでは出さないが……自分はそいつを見てみたい。コレは完全に自分のエゴという望みでしかない。でも、あの楽曲の歌詞がここまでの状況をひっくり返す反抗のシンボルでもあり、本編に出すのならここが一番最適だろうなと思うから。

 

 

弾ける意志と開花の刻ーShizuku's Memoriesを斯く語る

 先日、サニーピース番外編・兵藤雫のストーリーが追加された。
アイドルの過去を掘り下げていくこの番外編、最も待ち望んでいた彼女の過去が明らかになるのは非常に楽しみだった。

実際に見て、ある程度予想していた通りの内容でもあったが、それ以上の情報量もあり、受けたインプレッションは大きかった。ストーリーを見て感じた事、雫の過去とアイドルへの軌跡に踏み出していったのかを振り返る意味を込めて所感を書き殴ってみようと思う。


※本記事は『Shizuku's Memories』の内容について、多数のネタバレを含んでおりますので、ストーリーをご視聴の上でご一読下さい。



 

 憧れと夢の原点


 雫の番外編は、彼女がある人物と電話している場面から始まった。
電話の主は秋宮もねという女性。彼女は、雫の年が離れた従姉でアイドルをしているとの事。雫のプロフィールの好きなモノの欄に記載していた従姉の存在が明らかになったワケだ。

通話の内容は、もねがアイドルを辞めるというモノだった。当然、雫は彼女の決断には納得出来ず、思いとどまらせようと説得するがもねの意志は固かったと。

 雫ともねの関係は本当の姉妹の様に仲睦まじいモノ。ある時、もねがアイドルのオーディションに受かってデビューが決まる。そして、雫は彼女がアイドルとして輝く姿に魅了されてLIVEにも通う様になっていき、もねに憧れて自分もアイドルになりたいという夢をおぼろげに抱いた。

雫にとって秋宮もねは、憧れの存在でありアイドルの象徴だった。いつかは、雫がアイドルとしてもねと一緒のステージで歌って踊る事も夢見ていた様に思える。前述した様に、もねの引退は雫にとって受け入れられるモノじゃない。だが、もねは無情な現実を雫に突きつける。長くやって来たからこそ見えてしまったモノと、いつまでもアイドルではいられないという現実を。

 コレについては、怜の親父さんも触れていた事で、アイドルの華やかな部分のみならず無情な現実も突きつける要素も織り込んで来るのはアイプラの根幹だと思っているので、きっちり描かれていたのは良かったかなと。

 


 
 夢を嗤う者


 人が夢を公に語った際、様々なリアクションが返って来る。
好意的に応援する者、所詮は他人の夢として無関心な者、そして…否定して嘲笑う者。

もねに背中を押される形で、雫はアイドルになりたいという夢を公にした。だが、世間ってヤツはそんな優しいモノじゃない。雫自身も自覚している様に、根暗で無口な彼女がアイドルになりたいという夢を陰で嗤う者の存在を雫は知ってしまった。

世間一般のイメージとして、アイドルという存在はまずどんな時でも笑顔を絶やさないという固定概念があって、愛想の無い雫には絶対無理だという決めつけから嘲笑う。

 この辺りから、言葉を選ばず書き殴るが…この過去編の1話後半から2話全般が胸クソ悪いインプレッションになる。ただ、それが後の爽快なカタルシスへ昇華していく過程が見事だった。

『EVERYDAY! SUNNYDAY!』のMVでも描かれる雫の負の過去にもあったが、前述した様にアイドルになりたい夢を冷ややかに否定される描写がある。まあ、コレは予想出来たモノだったが、そこからの展開が実にクソ過ぎて視聴者のヘイトを見事に爆上げしていく。

 最初は、からかわれるだけだったり陰で嗤うだけだった。ここまではある程度予想していたモノ。だが、その先からの展開がマジで胸クソの悪さしかないインプレッションとなっていく。

雫がLIVE帰りにオタク仲間と饒舌に語り合う模様をクラスメイトに見られてから、彼女への風当たりがエスカレートしていった。つまりはいじめのターゲットにされた。担任の教師も雫の言い分を聞いてくれない。さくらみたいな友達がいたら…という雫の言から察するに学校で雫の味方は誰もいなかった事がうかがえる。

ただ、雫の味方がいなかった事に関しては、自分は好意的に捉えている。彼女の夢を嘲笑っていじめた行為にはマジでクソ以外の何物でもないが。ここの描写では生徒想いの熱血教師や気骨に溢れ雫を助けて応援する友達は必要無い。徹底的に雫を孤立させる人の業と悪意が重要だった。



 

 運命に導かれて門を叩く


 いじめられて孤立してしまった雫が最悪の道へ踏み出さなかったのは、アイドルの存在に救われていたから。そして、雫の両親やもねも彼女の味方だった。この時の雫は、アイドルを見て現実から逃げてるだけと自嘲していたが……逃げるという行為は、環境を変えて前に進む事と同じ意味だと自分は思っている。

 父親の転勤で、東京から星見市へと引っ越す事になった兵藤さんご一家。おそらくだが、雫の環境をどうしても変えたいという想いで自ら異動願いを出したんじゃないかと解釈している。まあ、担任教師に娘のいじめをどうにかしろと直談判したが、さらにエスカレートさせた様なクソ教師に不信感を抱くのは当然な話。単なる転勤だと雫に伝えていたのは、彼女に要らぬ心配をかけさせたくなかった父親の気遣いだったのだろう。

 この星見市で雫が言った様に運命の扉が開かれる事になる。丁度その頃、星見プロダクションでは新人アイドルオーディションを開催する話があった。この刻の巡り合わせも雫が避けられない運命の導きなのだろう。しかし、雫はアイドルではなくマネージャーへの道に進もうとしていた。

その根底にあったのは、彼女自身も自覚していた上手く笑えない事へのコンプレックスから自分はアイドルには向いていないと決めつけてしまった事。周りに嘲笑された事も影響しているのだろう。もねが言及した様に、雫の頑なさは『呪縛』といっても過言じゃなかった。何らかの呪縛ってヤツもアイプラの根幹を成すモノ。

 自分の持つアイドルへの知識を活かせるのは、マネージャーになる事だと思った雫は、マネージャー志望として星見プロの門を叩いた。アイドルオタクでもある雫は、麻奈のマネージャーである牧野が高校生の頃から就いていたという話を知っていた事もあるのだろう。この一連の流れは本当に意表を突かれた展開だった。

意気揚々とアルバイトの面接へと乗り込んだ雫。だが、ここで彼女の運命を大きく変える出来事が起こった。それは、未来の刻でサニーピースのメンバーとして一緒に活動する佐伯遙子との出逢い。ちなみに…遙子の事は事務員だと雫は思ってたらしいww

 遙子の勘違い(ファインプレー)で、アルバイトではなくアイドルのオーディションへ通されてしまった雫。勿論、雫はその事を知らずアルバイトの面接として面接官の牧野と対峙した。当たり前の事だが、二人の話が噛み合うワケがなかった。

話が飛ぶが、遙子がさくらと一緒に雫の過去の聞き手にいたのはサニピ結成前から繋がった縁なのかと思わず膝を叩いてしまった。更に、遙子の勘違いした要因として自分が解釈しているのは、雫の中に眠っていたアイドルとしての可能性を本能で感じて無意識にオーディションへと導いた。それは、運命のいたずらってヤツなのかもしれない。遙子が勘違いしてしまう程に、雫がアイドルのオーラを発していたのだろう。多分……



 

 呪縛からの解放と開花する可能性


 意気揚々と臨んだ面接が予期せぬアクシデントにより失敗に終わった雫は意気消沈していた。でも、そんな彼女に運命は下を向く暇を与えてはくれなかった。牧野から連絡が来たのだ。しかもアイドルとしてのスカウト。雫と接して言葉を交わした時に彼の中で何かを雫に見出したのだろう。もしかすると…当時、彼にくっついてた幽霊の麻奈の方が、雫に何かを感じて助言したかもしれない。

牧野の電話により星見プロへと呼び出された雫。そこで雫はダンスレッスンに励んでいるさくらを見る。数多のアイドルを見て来た雫は、さくらのダンスが経験不足による実力の無さを一発で看破した。でも、その一所懸命さと楽し気に踊るさくらの姿に惹かれるモノを感じていた。技術があるのは勿論大事だが、それがアイドルの全てではない事も雫は充分に知っていた。

 牧野は言う。『アイドルという夢を目指す仲間と一緒にアイドルをやってみないか?』と。当然ながら、上手く笑えない事にコンプレックスを抱きアイドルには向いていないという呪縛に囚われている雫は首を縦に振れなかった。それでも牧野は雫にこんな言葉をかける。

 


 兵藤さんはアイドルに向いているよ。

 こんなにアイドルを好きな子がアイドルに向いていないはずないだろ。

 誰よりもファンの気持ちが分かる君なら

 誰よりもファンを大切にする素敵なアイドルになれる。

 

 

 自分の事は自分が一番分かっているという言葉がある。でも、自身の中に秘めている無限の可能性を自分自身が一番分かっちゃいないってのもまた真実。雫の場合は自己肯定感が低かったからかそんな秘めた可能性を信じられなくて挑めなかった。それが彼女が囚われてしまった呪いの正体。

そして、ベタな物言いだが…運命も雫を見放さなかった。彼女はなるべくしてアイドルになる存在。どういう軌跡を歩んで来ても雫がアイドルになる事は逃れられない真実なのだろう。お前(雫)がどう思っていようが関係無い。お前の往くべき道はこっち(アイドル)なんだよって。

 雫にとって、家族以外と同好の士であるオタク仲間以外の人は信頼出来なくて、繋がりの希薄な他人は純然な憧れと夢を否定して嗤う『敵』でしか無かった。でも、そんな憧れと夢を他人が初めて肯定してくれた。もね以外にも、雫がアイドルに向いていると言ってくれた他人に出逢えた事は、雫にとって本当に嬉しい事で勇気が湧いて来る事。同時に置き去りにしてしまった本当の想いと熱を呼び醒ます刻でもあった。

 


 私……喋るのが苦手で……人と関わることも下手で……

 上手に笑うことも出来ないけど……

 それでも……そんな私だけど……アイドルになりたい

 ずっと見上げてたステージに、私も立ちたい

 だから、お願いします……私をアイドルにして下さい!

 

 

 あの長瀬麻奈と共に戦って来た者が雫の可能性を信じてくれた。でも、それ以上に雫が嬉しかったのは、アイドルへの想いを嗤わずに肯定してくれた牧野の言葉。雫は夢を懸けてみようと本気で思って偽り無い意志を示した。自分を信じる積み重ねが苦手で出来なかった彼女が他人と自分をようやく信じられた瞬間でもあったのかもしれない。



 

 お疲れ様とありがとう。そして、受け継ぐ想い


 雫の過去編において、最も重要な役割を担っていたのが秋宮もねだと思っている。
雫にとっては実の姉の様な存在だし、アイドルという夢を抱く切っ掛けとなった憧れの象徴。秘めた可能性を信じ、手を差し伸べてずっと味方でいてくれた人。そして…未来の雫の姿。

 冒頭の項でも触れたが、雫の過去編の幕開けは、もねが雫にアイドルからの引退を告げる話から始まった。この作品のアイドルは例外なくデビューしたらVENUSプログラムへとエントリーされる。描写が無い為、もねがどれぐらいのランクにいたのかは分からんし、そもそもソロアイドルなのかグループに所属していたのかも分からない。

引退に至った理由を彼女が雫に説明していたが、アイドルや仕事に嫌気が差したワケでもなく、大きな何か…契約解除や何らかの病気や怪我を抱えていたワケでもなかった。小さな事の積み重ねが限界を超えてしまったからだと。

 まず考えられるのが…もねの年齢。雫とは年が離れているという事から、miho(24歳)と同年代かそれ以上だと勝手に思っている。勿論、アイドルが年齢制限のある仕事ではないが……遙子がサニピメンバーで最年長ってのを気にしている描写があるので(遙子も充分若いが…)もねも気にはなっていたのかもしれない。

 そして……おそらく、現在の刻で雫がアイドルとして活躍している事も影響している。自分の解釈としてはコレが決定打になったと勝手に思っている。

雫も思っていた様に、もねも彼女と同じステージに立って一緒に歌う夢を持っていたはず。でも、その夢を果たす事は叶わなかった。おそらく、このままアイドルを続けていてもチャンスは無い事をもねは悟ってしまった。

この過去編がどの時間軸で描かれていたのかが全く分からないが…仮に、東京編の後だとしたらサニピは『BIG4』の座にいる。ライブバトルのマッチアップは簡単にはいかないし、共演へのハードルも異常に高いモノ。つまり、雫がアイドルとして順調に活躍すればするほどもねとの共演の夢は遠ざかってしまう。まあ、雫に引導を渡されたと言っても過言ではなかった。

 同じアイドルの軌跡を往く事で、もねは雫と肩を並べて同じ軌跡を行ける存在ではない事を思い知らされたのかもしれない。アイドルに向いているってずっと激励し続けていたのはそれだけの才能を雫に感じていた。例えようの無い複雑な感情がもねの中で駆け巡っていただろう。
それでも、雫がアイドルとして活躍出来ている事や心の底から信頼出来る仲間に巡り逢えた事は本当に喜ばしくて、彼女の中で一つの踏ん切りがついたのだと思えてならない。

 そして、もねに雫がすべきなのは、引き留めて辞めるのを思い留まらせる事じゃない。
過去に囚われ、正しい行き先も生き方も分からなくなってしまった。そんな自分の手を離さなかったもねに、ちゃんとこれまでの感謝と労いの言葉を送る事。そして、未来での雄飛を誓う。

 雫にとって秋宮もねというアイドルは唯一無二の象徴。一緒のステージに立つ夢は叶えられなかったが、もねのアイドルとしての想いとPRIDEを背負って雫はトップアイドルへの軌跡を往く。5話の二人による誰にも割り込まれない対話の刻。これは互いに前へ進んでいく為に必要な決別の儀式。胸クソの悪いインプレッションを抱いた雫の過去から、このクライマックスの純然を極めた清々しさに形容し難いカタルシスを抱いた。

 

 

 

 終わりに。


 雫の過去編のテーマになっていたのは、『言葉が持つチカラ』だったのではないだろうか。
そう感じたのは、雫と瑠依がユニットを組む事を描いたイベントストーリー『並び立つ歌姫のフルリール』(5話)にて、雫の口数が少ない理由を『凄く言葉を大事にしているから』という渚の台詞。雫はその力の強さを思い知ってるから迂闊にモノを言わないのだと。それは雫のパーソナリティの一端を担っている。

 言葉が持つチカラは尋常じゃない。 人を救ったり勇気を湧かせる事もあるが、同時に人の魂を容赦無く切り刻む凶器にもなる。雫も、幼い頃に抱いたアイドルへの憧れと夢を肯定してくれる優しい言葉に勇気が湧き、LIVEを一緒に見た同好の士と感動や興奮を共有出来たり、もねは雫から感謝と労いの念が込められた餞の言葉をもらってやりきった清々しさを抱いたりした。

 一方で、夢を嗤う悪意に満ちた凶器の言葉に魂が蝕まれて、消えない傷痕は呪縛になってしまった。時には、口下手な自分をもどかしくて呪ってしまっていたかもしれない。言葉の持つチカラに良くも悪くも引き寄せられて翻弄されていた。そんな彼女が『アイドルになって良かった』と、呪縛から解かれ胸を張って言える様にまでなれたのは本当に凄い事だったんだなと胸に熱いモノが込み上げて来た……

 

 

 アイドルに憧れて夢を抱いた変わらない想い、他人が認めてくれた言葉のチカラで変わろうと前に踏み出す勇気を奮い立たせて雫の魂が再生されていく過程が丁寧に描かれていた。
兵藤雫という一人の人間とアイドルの過去・現在・未来への誓いの物語は想像していた以上に重苦しい場面もあったが、そこを暈さずにきっちりと織り込み血の流れた物語として見応えがあり素晴らしかった。

 

 

 

極めて近く、曖昧になっていく≒という領域

 『IDOLY PRIDE』を愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか?あかとんぼ弐号でございます。

自分が『IDOLY PRIDE』に惹かれて、作品、楽曲、ゲーム、そしてLIVE参戦へと……いろいろと関わり見ていく内に、ある特別なインプレッションを抱く様になっていった。

だが、これまでそれを文章にしてこなかった…いや、出来なかったのは、そのインプレッションがあまりにもおぼろげ過ぎて自信を持って世に放てるモノではなかった。

 しかし、刻が経っていって、その漠然でおぼろげだったインプレッションが徐々にカタチを成していき…つい先日、IDOLY PRIDEでは初となる全国Tour終焉の地であるZepp Hanedaで、そのインプレッションは確信へと昇華した。

 『IDOLY PRIDE』を知る方には、今更説明不要かと思いますが、この作品には魅力溢れる個性的なアイドルがいて、数多のグループが存在している。
『サニーピース』、『TRINITYAiLE』、『LizNoir』、『ⅢX』、『どりきゅん』、『長瀬麻奈』、『月のテンペスト』……

それらのグループの中で、特別な存在になっていったのが『月のテンペスト』。その理由だが、単純に持ち歌が良い楽曲揃いやLIVEパフォーマンス、キャラクターの個性と魅力だけでは説明しきれないモノ。月ストと他のアイドルやグループとは一線を画す要素が、月ストを『スペシャル・ワン』へと押し上げた。今回の記事で、いくつかの要素を語ってみようと思う。



 Chapter1/月ストとミューレ三期生を繋ぐモノ


 月のテンペストのメンバーである、長瀬琴乃(CV:橘美來)、伊吹渚(CV:夏目ここな)、白石沙季(CV:宮沢小春)、成宮すず(CV:相川奏多)、早坂芽衣(CV:日向もか)。彼女達を演じられているのはミュージックレイン3期生(ミューレ3期生)の五人。

作品のみならず実際のLIVEにおいても、キャスト側の彼女達五人は月のテンペストのメンバーとしてパフォーマンスをしている。コレは、他のグループのキャスト陣も例外無く一緒で、言うなれば演者とキャラクターには超えられない境界が存在している。ただし、コレは自分が今更言及した所でまあ意味は無く、それだけで月ストの五人が『スペシャル・ワン』といった特別な存在にはならない。

 それだけの強いインプレッションを抱いた最大の要因となったのが…『≒』という記号。
双方を≒(限りなく等しいの意)で繋ぐモノ、それは、キャラクター側の月ストとキャスト側であるミューレ3期生との境界がかなり曖昧になっていく意味として、最も適切かと思いこの記号を当てはめた。コレは他のグループとキャストでは踏み込んでいない領域。(サニピは時々入りかけてる感じはあったりする)スフィアのメンバーがそっくりそのまま演じてるLizNoirと、TrySailのメンバーが演じるTRINITYAiLEでもこの曖昧な領域まで到達してない。

 ただ、アイプラのLIVEで謳われる楽曲はキャラクターソング。そこには、受け取る側である我々の様々な解釈だったり貫いて欲しい信念みたいなモノが存在している。その中には、キャスト側のパーソナリティ…キャスト側の生き様という『我』を表に出してはならない。出てしまっているのはまだまだ未熟という意見の人もいるだろう。勿論、そういう解釈は間違いでは無い。

でも……月ストが徹し切れていない未熟さによって、双方の境界が曖昧になる事に魅力を感じてどうしようもなく惹かれている部分がある。



 Chapter2/『IDOLY PRIDE』というプロジェクトの心髄


 これまた今更な話ではあるけれども…『IDOLY PRIDE』というプロジェクトは、サイバーエージェント連結子会社であるQualiArtsと、ミュージックレイン、ストレートエッジの3社共同プロジェクトによるアイドルコンテンツ。ミュージックレインが参画されている事で、所属している声優グループである『スフィア』と『TrySail』、そして、このプロジェクトにてデビューを果たしたミュージックレイン3期生がキャストに名を連ねている。

 で、このプロジェクトで何をしていきたいのか??前述した様に、プロジェクトにミューレが参画されている事からデビューを果たしたミューレ3期生を売り出して実戦経験を積ませていく事が狙いの一つ……もしかするとそれがメインとしてあると思っている。(あくまでも個人的な解釈)

3期生のメンバーが演じられるのは、彼女達と同じ立場でもある新人アイドル。作中のアイドル達がストーリーを経て成長していく様に3期生の成長物語も同時に紡いでいく。その要素が前項でも触れているキャラとキャストとの境界が曖昧になっていく事へと繋がっている様に思えてしまう。

 そう思った根拠は…昨年の夏の『VENUS PARTY The First』後に配信された『アイプラ生放送』の中で、豊崎愛生さんが仰られていた『みんなの真ん中に、星見の10人ちゃんが主人公というか、LIVEの中で真ん中にいるべき…』というコメント。サニピの五人も含まれてはいるが、当然月ストの五人も同様の事が言える。



 Chapter3/月ストへの追加武装(キャスト側からキャラ側へ)


 まあ、武装は大袈裟かつ的外れな表現だがww琴乃、渚、沙季、すず、芽衣のパーソナリティと、ミューレ3期生五人のパーソナリティをそれぞれ見ていくと、重なる部分が結構見受けられる。主になる要素をざっくり挙げてみると……(挙げる要素については異論や反論あると思います)


琴乃&橘さん→凛とした佇まい。クソ生真面目さ故のちょっとした面倒くさい不器用な部分。思いこんだらまっしぐらに駆けられる意志の強さ。


渚&夏目さん→メンバーとの関係性を結んでいる『鎹』的な立ち位置。キメ所を的確に撃ち抜くあざとさ。基本的に、グループ内のストッパー&バランサーだが時折暴走する傾向あり。


沙季&宮沢さん→メンバー最年長。淑やかで上品な佇まいだけれども、どこかマイペースが故の不可思議さと不器用さ。前へ出る覚悟が決まった時の加速したら勢いが凄まじい面。


すず&相川さん→メンバー最年少。ポジティブシンキングさと度胸満点な佇まい。ブレない信念とそれを貫き通せる強さ。


芽衣&日向さん→天真爛漫なムードメーカー。周りを見ていない様だが、実は一番気を配って見ている節がある。


 こんな感じで挙げておいてアレだが……キャラクター造詣について明確にされているモノは分からない。(自分の調査が単に及んでいなかった可能性もあるが…)更には、どう照らし合わせていったかも不明。シナリオが進んでいく際に盛っていった可能性だってある。

ただ、ここまで類似している要素が見られるという事は、3期生のパーソナリティをキャラクター側へと落とし込んでいる可能性は高く、単に偶然の一致という言葉で片付けられないし、アイプラにミューレが参画されている事も考慮すると、キャラと彼女達3期生との繋がりを密接にしているのは意図的だと思わずにいられないのだ。



 Chapter4/とある“場”との縁と楽曲の新しい“貌”


 この項では、IDOLY PRIDEとは離れたモノとなるが、3期生にとっては掛け替えの無い要素であり琴乃達と『≒』で結ばれていく重要なモノなので触れなければならない。そのとある“場”とはいったい何なのか?ミューレ3期生の単独イベントである『日々荘3号館 』である。

当Blogでも何度かこのイベントの参戦レポという形で綴っておるが、改めてどういうイベントかを説明すると……3期生の五人は、日々荘というシェアハウスに住んでいる住人という設定で、朗読劇をしたり、ゲームやトークをしつつ……歌って踊ったりするバラエティイベント。2022年の四月に第一回目が開催されて、現在に至るまで定期的イベントとして定着して来た。

 しかし、この日々荘3号館というイベントはアイプラのイベントではない。けど、彼女達はLIVEパートで月ストの楽曲を数多く謳って来た。この場で月ストの楽曲を謳う彼女達からは琴乃達の要素よりは3期生としての『我』を表に出している様に自分は感じている。

それは、月スト楽曲がキャラクターソングという枠組みだけでは収まらない3期生としての楽曲という解釈も出来る様な楽曲を作って欲しいというオーダーをされたのではないかと思えて来る。ただし、完全な妄想による推測の域でしかないが……

 ただ、一つ言える事は、五人の全身全霊を懸けている勢いや想いと必死さが楽曲に血を流していく。正式にアーティストとしてデビューしたグループではないけれど、運命共同体という縁と関係で繋がっている五人。LIVEだけではなく芝居やトークで戦って来たこの場の経験は本当に彼女達にとって掛け替えの無いモノ。その大切な場での戦いの経験を、彼女達はそっくりそのままIDOLY PRIDEでの活動へとフィードバックしている。



 Last Chapter/そして『≒』の領域へ……


 ここまでの各項にて語って来た要素が幾重にも重なっていき…アイプラLIVEでミューレ3期生が謳う姿に、琴乃、渚、沙季、すず、芽衣が謳う姿が重なって見える様になっていった。ただ…そいつはオマエの錯覚と言われたらそうなのかもしれない。当然ながら、実際のLIVEにて3期生達の傍らに琴乃達の姿がハッキリ見えてるワケじゃないが、キャスト側とキャラクターとの境界は限りなく等しい領域へと寄って行ってる。

作中で、琴乃達が苦境に立たされながらも懸命に抗っている様に、3期生もまた色々なモノと戦って来た。ただ、3期生だけに限った話ではないが……それでも、3期生のパフォーマンスには想いと魂とPRIDE…そいつは、単純に私達を観て欲しいなんて優しいモノじゃない。執念や殺気染みたモノが感じられる。キツかった事は一度や二度だけじゃないし、筆舌に尽くし難い悲しい事もあった。

 ここまで強い関係性にまで昇華出来たのは、キャラ側とキャスト側との繋がりが他のグループよりも密接なのは言うまでも無いが、3期生としても纏まってこれまでの軌跡を駆けて来たモノでもある。彼女達から湧き出て来るであろう激情をどこかにぶつけたくても、現状でぶつけられる所がごく限られた所しかなく、目の前で出来る活動を直向きに頑張っていくしかない。

それが色濃く表れていったのが、IDOLY PRIDEのLIVEと日々荘3号館。ただパフォーマンスをこなしていくだけじゃなく、本気でそこに懸けるPRIDEが彼女達には常にあったのだと思う。前の項でも触れた様に、正式なグループではない歪な集団かもしれない。でも、その歪さが故に超えられない境界が曖昧になってという限りなく寄り添える掛け替えない存在へ昇華出来た。

月スト≒ミューレ3期生との繋がりを本当に簡潔でチープな一言で表現すると『エモーショナル』。即ち『エモい』。この言葉に尽きるのではないだろうか。だからこそ、見ている人の魂と情熱を揺り動かせたのだと思えてならない。

 

 

 最後に。


 ここまで各項にて好き勝手書き殴ったモノについては、あくまでも自分が抱いている仮説の域でしかない。

でも、一つ言えるのは、サニピの子達も含め、月スト≒ミュージックレイン3期生が中心になって『IDOLY PRIDE』というプロジェクト全体を引っ張っていかなきゃいけないってのはあって、やっぱり客を呼べて金を落としてもらえないと意味は無い。

トリエル・リズノワ・スリクスよりも、更にはサニピよりも…月ストを観たいからLIVEに参戦した。そういう存在になっていって……ただ今来ている客が満足して終わりじゃなく、いろいろな所で話題になって、月スト≒ミューレ3期生を観たいと思わせる様にならなきゃいけない。

ただ、自分よりもそれを強く実感されているのはミューレ3期生の五人だと思う。険しい道程だけれど、彼女達の本気の想いと魂はそれを超えられる可能性に溢れている。

 くどい様だが……ここまで書き殴ったモノは、全て自分の抱いている妄想と暴論による独り言の発散に過ぎない。コレを読まれた方がどう受け止め、解釈されるかはその人の感性に委ねたいと思います。共感してもらえたら素直に嬉しいし、異論や反論があってもきっちりと受け止めて、様々な見方だったり考え方を知りたい。

 

 

 

慣れる事のメリット&デメリットー日々荘3号館~にゃんと楽しいバレンタイン~所感

 2月10日。飛行船シアターにて開催された 『LAWSON presents トーク&バラエティイベント 日々荘3号館~にゃんと楽しいバレンタイン~』(毎度ながらタイトルが長え…)昼夜共に参戦して来た。

 

 

 ミュージックレイン3期生の単独イベントとして2022年4月から始まり、回を重ねて今回で10回目の節目を迎えられた。もう、定期イベントとしての流れが定着したと言っても過言ではないと思える。

ここまで継続して来れたのは、ミューレ3期生である、橘美來さん、相川奏多さん、宮沢小春さん、夏目ここなさん、日向もかさんが、どんな時でもちゃんと毎回そのイベントに全身全霊を懸けて臨んで来たからであり、毎回参戦してくれる住人さん(観客の事ね)がいてくれるからでもあるし、おそらく回を重ねていく度にその数は増えていってる様に思える。

その一つの成果となって表れたのが、昼夜共にチケットが完売出来た事なのだろう。

イベントの流れは、朗読劇→住人総会→ゲームコーナー→バラエティコーナー(今回はアドリブ劇)→LIVEコーナーといった従来の流れ。…ちなみに本稿は参戦レポではない為、各コーナーの詳細までは書きません。


 結論から書いてしまうが、全編通じて感じられる、わちゃわちゃ感、まったりした緩さ、楽しさ。これらは彼女達がここまで築き上げて来た、この日々荘3号館というイベントの雰囲気であり真骨頂となるモノ。住人さん達は当然の事だし、何よりも3期生の五人も本当に楽しんでステージで躍動しているからだと思う。

 相変わらずCHAOS感満載な朗読劇から始まって…住人総会にて、今回のニュースキルゲットに挑戦した橘さん。彼女が挑んだのは利きパスタソース。五種類あるミートソース&ボロネーゼを食べ比べていって、全て的中させる難度の高いモノだった。

結果は、見事全ての組み合わせを的中させて、なおかつちゃんとした詳細な食レポまで披露されていた。感じたインプレッションを的確に言語化(もしくは文章化)するのは、お前が言うなと思われるだろうが……本当に難しいモノだったりする。

ただ…よくよく思い返してみると、橘さんはアイプラ生放送にて、ガチャの新キャラの能力を解説する機会があって、そこでも分かり易い解説をされていたので、元々、インプレッションの言語化or文章化が得意な人なんだろうなと。


 続くゲームコーナーで催されたのは、ニャーニャーゲーム。コレは、出されたお題にニャのみのワードで当てていく伝言ゲームの類。観る側の我々は、ステージ後方のスクリーンに答えが表示されてるから分かるが、彼女達は即座に的中していく場面が何度かあって、普通にスゲェなと感嘆させられた。ただ……時折、ジェスチャーまで入っていくのはどうかと思えなくもなかったが……(コレについては後述する)

そして、バラエティコーナーでは、アドリブ即興劇が展開される。テーマのみは決まっていてアンケートにて事前に募集された台詞やバレンタインのシチュエーションはここで使うものだったのねと。コレはシンプルに彼女達の頭の回転の早さと適応能力が試される。前後の繋がりが見いだせない台詞やシチュエーションも差し込まれるので、これまたCHAOS感溢れて面白かった。

 最後は、記念撮影してLIVEコーナーへ。謳う楽曲は、バレンタインイベントという事で、バレンタインソングの王道を往く『バレンタイン・キッス』を披露した。コレは後で知ったんだが、直系の先輩ユニットの『スフィア』も、イベント『ミュージックレインgirls 春のチョコまつり』でカバーした楽曲らしい。

アクトの所感だが、楽曲のテイストが甘々なアイドルソングという事も相まって彼女達のパフォーマンスもキュートさ全開に振り切ったモノになっていて本当に可愛らしかった。(語彙力どこ行った)


 ミュージックレイン3期生は今年の12月で、お披露目から五年の歳月が流れる事になる。
そして、冒頭でも触れたが、3期生としての単独イベントとなる『日々荘3号館』は今年で3年目の季節を迎えた。

彼女達はどう感じているか分からないから、コレは俺の勝手な妄想でしかないのだけれど……業界の仕組みやらなんやらが大分理解しだして、この日々荘というイベントのアットホーム感満載な雰囲気も確固たるモノへと築き上げた。

『慣れ』て来たと言い換えてもいい。最初から見ていたワケじゃ無い上に、全部の日々荘へ参戦していないから何とも言えないが、まあ、五人それぞれは本当に伸び伸びと楽しんで臨んでいると思う。

 おそらく、彼女達にそういう心情は無いと思いたいが……その『慣れ』に甘んじてしまいかけてるんじゃないかと思ってしまった場面がいくつか見られた。

ニャーニャーゲームの時、ゲームのルール上『ニャー』という言葉のみで出題しなきゃならんのに、誰とは言わないが、時折ジェスチャーしてしまった子がいた。必死になって伝えなきゃ!と焦ってしまったが故の行動なのは凄く分かるが…まあ、厳格に守れとまで言えないが、そこはちゃんとルールに則ってもらいたかったかなと。

観客の中には物分かりの良い住人(オタク)ばかりじゃない。あの場にはいなかっただろうが、クソ面倒な住人もいるのが世の常だったりする。…こうして書いておる俺もクソ面倒なヤツってのは痛感しておる。

 あと、コレは最初に言っておくが……所謂、否定的な意見出してる自分に酔いしれたいワケではなく、ここからはあの場と刻で感じた偽り無いインプレッションとして書くが、まず、朗読劇の中で、彼女達にとっての直系の先輩達のネタに触れていくのはもういいんじゃないかなと。

ただ、中にはスフィアやTrySailも追っかけている人もいるし、彼女達も尊敬の念があるのも分かるが……わざわざ劇の台詞にまで差し込む事も無いだろうと。逆に、フリートークで触れるのは全然ありだけども。

脚本書いた人にそんなつもりは無いだろうが…俺はへそ曲がりなヤツなので、取り敢えず先輩達のネタいれときゃ盛り上がるだろ?みたいなモノを勝手に感じてしまうのだ。前にも言ったが、内輪ネタに走り過ぎるとかえって場が白ける事もある。仮に、彼女達のアドリブだったとしてもそれは同様。極少数かもしれんが、こう感じている人が間違いなくいるという事実は知ってもらいたいかなと。

 そして、このアットホームな雰囲気の場。彼女達は嫌かもしれないが、ここでは思いっきり失敗したっていい。大丈夫。ここの住人さん達は失敗したってそれを嗤わずに、エンターテインメントのカタチとして温かくちゃんと包み込んでくれる味方だ。

どうしてこんな事言ったか。昼の部でのアドリブ即興劇の際、宮沢さんがあまりグイグイと出ていかなかった様に感じたのよ。邪推の域かもしれないが、失敗を恐れてしまったのかなと……ただ、前述した様にこの日々荘では失敗したって良いんだ。(勿論、限度はあるが)


そもそも、ここの住人さんは味方だと言ってくれたのは、宮沢さん、貴女だよ。
それに、ちゃんとカバーしてくれる我々以上に最高の味方である、橘さん、相川さん、夏目さん、日向さんが傍にいるじゃないの。


 日々荘のリサイタルで、信じて踏み込んでくれた宮沢さんのパフォーマンスは本当に素晴らしかった。踏み込んで走ると肚括った時の貴女のチカラって本当に凄いのよ。だから、もっとはっちゃけていい意味で貴女の表現者としてのエゴを我々に魅せ付けて欲しい。そのポテンシャルは充分に持っているのだから。

 
 総合的な所感としてあるのは、彼女達の成長が存分に感じられたトークスキルや演技力と、ここまで築き上げてきたアットホーム感満載な雰囲気と五人の絆の強さだった。でも、『慣れ』て来た頃が一番危なくてこういう時ほど足元を掬われやすいのも事実としてある。

ミューレ3期生のメンバーはそれぞれが真面目で謙虚な子達だと思う。この先どんなに大きくなってもおそらく、根っこの部分は見失わないだろう。関係ないかもしれないが…彼女達のお辞儀って常に深々されていて、そういう部分は多分周りのOTONA達から厳しく言われてるのかなと。


 そんなこんなで、好き勝手に、尚且つ、上から目線の偏狭な物言いになってしまったが…あの場で感じた偽り無いインプレッションを書き殴った。会場に参戦して素直に感じた事は、良い事も悪い事も書き残そうと思い筆を執った次第です。5月に開催が決まった次回の日々荘を今から楽しみにしつつ…筆を置きたいと思う。