巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

『戻って来ない?』と言われた日曜の昼下がり。

 『戻ってこない?』

 


よく、ドラマとかアニメのワンシーンで袂を分かった相手に対し、説得するシーンなんかでよく聞くこの文言。胸が熱くなり、シチュエーションによってはロマンチックなインプレッションを抱くモノでもある。で……現実世界でも、この文言を聞く機会というモノは訪れたりするものである。


言われたのだ……俺にも。

 


前職の上司からwwww

 

 


 話は昨年の年の瀬まで遡る。
とある日曜の昼下がり自宅に電話が一件掛かって来た。電話の主は前職の上司だった方から。まぁ、これだけを捉えて見ると人によっては割と良くあるシチュエーションでもあるだろう。


但し…それは自分と相手との親密度の深さにもよる。


ちなみに、俺とその上司はプライベートの接点、週末の仕事終わりに飲みに行ったりとか休日に会ったりとかそういうモノは無いただの上司と部下という間柄。勿論、自宅に電話したり俺もした事は無かった。特にソリが合わなかったり、反目し合っていたという事でもなかったが……そんなあまり深くもない関係性の相手からの突然の報に対して直感で悟る。


この報、俺にとってロクなモノではないと。


突然の報で考えられるのは三つのケースがある。

一つ目は、職務の引継ぎに俺の不手際があった場合。引継ぎ期間が業務と並行していた為にそれは起こったともされるが……それだったら、俺の有給消化期間と退職の日まで時間はあったのでそこで連絡しただろうから、半年以上経ったこの時期で持ち出して来る問題じゃないだろう。

二つ目は、特殊な案件で俺のノウハウを聞く為。聞かれれば答えるが、そいつは今携っている人で解決することだろうし、他にも聞くべき相手がいるだろうからこの案件も今更辞めた奴に聞く事でも無いだろう。

最後は、最も可能性が高い事項でもある……前職への出戻り勧誘。
結論から言うと、電話して来たのはその事項だったんだよ。


 とは言え、その辺りの話術は元・上司の方は心得た方だと思うので、電話取ってあちらも開口一番出戻りへの勧誘をして来たワケじゃない。俺の現状、就職先は見つかったのか?就職出来ても収入が前職より低くないのか等……外堀を徐々に埋めるかの様に本題へと導いていった。俺の方も、嘘言っても仕方ないのでありのままの現状を話したワケだ。で、前職場の現状も教えてくれた。

何でも、俺が退職した後に更に三人辞めたそうだ。しかもその辞めた奴(あえてこう書く)の内二人は部署の上役二人だと。ちなみに最後の一人はその上役の一人が贔屓気味にしていた女性社員。
俺が元居たその部署はそんなに在籍人数は居ない。ギリギリの状態で業務をしている綱渡り的なモノだ。おそらく、この三人が抜けるという事態は想定外の事項で業務に差支えが出ないワケが無い。
で、もうどうにもならんという事でその上司(俺に電話した来た方)は会社に掛け合って求人募集した末に何とか勤めてくれる方が見つかったと言う。


(求人掛ける前に、遊んでやがって人余ってる部署から異動させろ…って話でもある)


まあ、ね。その俺の後に辞めた連中だけれども、そいつらの事を話した元・上司の声色に含んでいた怒気の様なモノを感じた事から、おそらくは自己都合で辞めたのだろう。
単純に考えて前の会社は船底に穴が開いて沈むのは時間の問題だ。見限ってそこから離れるのは悪い事じゃない。ただな、その怒り具合を察するに完全に後の事なんざ知らねぇ的丸投げ式で辞めてった様に俺は感じた。
ちなみに俺はその辞めた二人の上役の奴らは全く信用してなかったし、当然ながら尊敬の念なんて微塵も抱かなかった。そういや昔、ミーティングにてしたり顔で言ってたな……『責任から逃げるな』と。

事の詳細は聞かなかったし、別に知ろうとは思わなかったので聴かなかったが、言っていた張本人が責任から逃げてるじゃねぇか。やっぱりその程度の奴だったんだあいつらはと乾いた笑いが込み上げそうになり、俺の見立ては合っていたんだなと謎の自信を持った。

今となってはどうでも良いがついでに書いてしまうが…女子社員の子。
おそらく、贔屓にしていた方の奴と一緒の所に再就職した可能性が高いと思っている。

(そうじゃない事を祈るばかりだが……)

まぁ、そいつに付いて行くのは勝手だが、そいつはとっとと見限った方がいい。
自分の身は自分で守って道は自分で切り拓いて下さいと。


話が脱線してしまったので本筋に戻す。
で、人員はどうにか回せる位にまで集まったと言うが、どうしても俺が携っていた機器の人員が見つからないと。そこで、俺に白羽の矢が立つ。


『もし、今居る所の待遇が良くなかったらまた戻ってこないかな?』と。


まあ、その気持ちは分からんでもない。俺が逆の立場でも出戻り勧誘をする。
一から人材育成したり求人採用で来た人より、職場の雰囲気や業務の流れもスムーズにいくのは明白。だが、残念な事に俺が今勤めている所は前の会社より多少ではあるが収入が上がって勤務条件も良い。
それに、『お前要らないよ』と言われた所だし、経営陣が脳ミソおかしい思考しか出来ねぇ連中の所で以前と同等のモチベーションで安心して働けねぇし、どう考えても都合の良い人手として使われるのは目に見えてる。


何よりも俺が前の職場と職種に未練が全く無いwww


仮に、俺があの時まだ求職中だったとしてもこの出戻りのオファーは受けない。
そう思わせる程に前の職場に魅力は無いし、沈みかかる船に今更乗るつもりはない。


で、その元・上司のオファーをオブラートに何重にも巻いた言葉でやんわりとお断りした。

 

 電話を取って感じたロクでもなかったインプレッションはその通りだった。


だが、ただ一つ良かった事があった。そいつは……


Blog記事のネタを一個ゲット出来たwww


 お後がよろしい様なので、ここで筆を置きます。

 

 

 

 

 

 

WUG楽曲 ライナーノーツ #30 Character song series 林田藍里編

 2017年の4月に始まったWUG楽曲ライナーノーツシリーズも30回目を迎えました。

……うん、まぁ…もうちょっと早い時期に終わる算段だったんだが色々あり過ぎたのよねww

 


で、今回書いていくのはWUGの『扇の要』林田藍里のキャラクターソングシリーズ。
これから色々と述べていきますが毎度ながら根拠もない妄想もいいとこなので、『またこいつ変な解釈してやがるよw』って感じの生暖かい目で見てくれたらとても嬉しく思います。

 

 

 

 可笑しの国/林田藍里(CV:永野愛理)

 

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 曲題にある『可笑しの国』。ここから連想されるのは童話『ヘンゼルとグレーテル』に登場するお菓子の家が真っ先に浮かんでメルヘンチックなインプレッションを抱かせ
デジタル・テクノポップス調のゆったりとした曲調に、永野愛理さんが持つ独特な歌声がその雰囲気を損なう事無く更に楽曲が持つ物語性を加速させる要素であり沁み入る様に傾聴させられる。

その沁み入る様なインプレッションは中毒性という要素にも捉える事が出来て、その要素でWUG楽曲全体を見て真っ先に自分が浮かんで来るのは久海菜々美の『オオカミとピアノ』が筆頭(注:個人の偏見)に挙げられる。そして、この『可笑しの国』も『オオカミとピアノ』に比肩する程の中毒性を帯びた楽曲であると感じるのだ。


 メルヘンチックなインプレッションはそのまま林田藍里のパーソナリティへと繋がる。
可笑しの国とはお菓子の国でもありメルヘンチックの一つのインプレッションだと捉える事も出来て、彼女が抱いているアイドルのインプレッションだとも捉えられると思える。

ただ、この楽曲をメルヘン、表現が悪くなるが脳ミソお花畑的な夢見がち一辺倒な楽曲だというインプレッションで捉えてしまうのは違うのだ。
確かに『メレンゲ』『スフレ』『ホイップ』等、藍里が好きな洋菓子で用いられる言葉が出てきて甘い感じの印象を受けてそう感じてしまうが、全体的な印象としては『自分を変えたい!』と決意してアイドルへの門を叩きその身を投じた藍里の変わろうとする想いが楽曲に込められたモノであるという事。以下の節々は藍里の想いと決意が込められているのではないだろうか。


 まだじょうずに ふくらまない メレンゲみたいなこの夢を

 いつかきっと スフレのように サプライズにしてみせたい


 ―林田藍里(CV:永野愛理) 『可笑しの国』より引用

 


 元々、藍里がアイドルとして持っていたビジョンなのかは分からないが、おそらくこれはある出来事以降に彼女がおぼろげに見え出してきた『変わった自分』=アイドルとしての理想の姿だと思える。
彼女の好物である洋菓子で使われるモノの名称で夢や目標を比喩しているのは楽曲の世界観を損なわない為の手法としては面白いと唸るしかない。


 
 まっすぐに名前を呼んでくれる声に 

 そのことを誇らしいと思えば

 私でも輝いていけるって信じられる


 ―林田藍里(CV:永野愛理) 『可笑しの国』より引用

 


 まっすぐに名前を呼ぶ声というのはそのままの意味。藍里を連れ戻す際に七瀬佳乃と島田真夢が言い放った彼女の名。二人の本気の想いと魂が藍里の凍てついてしまった魂を滾らせ、変わろうとする想いを取り戻しその想いに応えようと懸命に努力を重ねていく……個人的にここの節々はこの楽曲の要を成す箇所だと思っている。癒し系のポップスとしても、勿論キャラクターソングとしても魅力的且つ優秀な楽曲であると言えるのではないだろうか。

 

 


 ヒカリキラリミルキーウェイ/林田藍里(CV:永野愛理)

 

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 『ミルキーウェイ』は天の川の英訳。ヒカリ、キラリは光り輝く星に喩えているのだろう。
他のメンバーもそうだけれど、このキャラソンシリーズの二作目は続・劇場版の時系列での心情描写が顕著である。『可笑しの国』でのインプレッションはメルヘンチック要素が自分の中では勝る印象だった。この楽曲でもメルヘンチック要素は継承されていて、詞には『羽根』『翼』『天使』など空を連想させるワードがいろいろと散りばめられている。

しかし、この楽曲は系譜をなぞってはいるがメルヘンチック要素を訴え掛けるモノではない。
前述にあるが、この楽曲は続・劇場版での林田藍里の心情描写が顕著に表れている事。他のメンバーより実力が劣っているという事実を藍里は突きつけられ痛感するが、彼女はそれを真摯に受け止め雄飛の機を皆に力強く誓う。


 もうちょっと遠くまで 飛び立つ日のために

 過去と現在(いま)も未来さえも 真っ直ぐ見据えよう

 壮大な輝きに流されないように 

 ヒカリキラリミルキーウェイ 渡ってゆくよ

 気付けば背中に白く大きな翼 天使の声が近くに聞こえてくる


 林田藍里(CV:永野愛理) 『ヒカリキラリミルキーウェイ』より引用

 


 真摯に過去の自分を受け入れ、正直に現在の状況へと立ち向かい未来の刻で輝ける自分を信じて懸命に闘う。藍里の先を往き、空高く羽ばたく他の六人が手を差し伸べている。本気で差し伸べている手を藍里は一刻も早く掴んで両手で包みたい、六人と肩を並べられる存在になりたい。詞の中で度々出て来る『天使』というワードはWUGの六人のメンバーを指しているのだろう。

この楽曲は藍里の『変わらない想い』を謳ってもいるが、『変わろうとする覚悟』も同時に謳っている気がするのである。『可笑しの国』と比べて違う点は『力強さ』をこの楽曲からは特に感じる。藍里の精神的な成長の証であり彼女の中に眠っていた上昇志向の在り方がきっちりと描かれたからなのだろう。そして、ここの節々がこの楽曲の要となると自分は感じている。
この楽曲は藍里の上昇志向と芯の逞しさを謳うアンセムソングでもあるが、同時に彼女のアイドルとしての在り方を謳うメッセージソングだとも思える。

 


 

 

 

 Party! Party!/林田藍里(CV:永野愛理)

 

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 推測の域だが、曲題の『Party』は二つの意味があると思える。
一つ目は、社交的な集まり。よく使われ聞き馴染んでいる言葉でもある。で、もう一つが目的、行動を共にするグループ・集団としての意味がある。同じワードを並べたのは意味を強調し、両方の意味で解釈出来るものだと発信しているのだろう。

曲題のみでこの楽曲を捉えて見ると、何ともはっちゃけた…林田藍里には似つかわしくない振り切った曲調の変化球的楽曲なのかと思ったものだが……実際聴いてみると、これまでの藍里のキャラソンの系譜を逸れること無くきっちり継いでいる聴き心地の良い楽曲だった。変化球的な振り切った楽曲を持って来ても面白いのだろうが、そこを逸脱しない……いや、させない所に林田藍里というキャラの芯の逞しさを感じさせるのだ。

 
 Party! ほつれた心を Party! ほどいて休もう

 ただいま いつでもここが帰りたい場所
 
 不器用なわたしだけど(がんばる)

 笑顔の理由になりたいの(なれたらなぁ)
 
 こらえきれない涙は 本気出した証だから

 隠すことないよ 今のあなたはすごくまぶしい


 ―林田藍里(CV:永野愛理) 『Party! Party!』より引用



 仙台に関わる仕事がしたいと言い、仙台と共に大きくなって何かを発信していくアイドルになりたいと藍里は力強く誓う。変わろうとする覚悟を持ち、勇気を出して一歩踏み出した領域で彼女が辿りついた答えなのだろう。
不器用だけれどそれを許容されここにいても良いと思える場所……藍里だけじゃなく他の六人にとってもWUGとは帰れる場所であり居場所。そして、仙台の地もその括りに在るモノ。
Wake Up,Girls!と仙台。どちらも林田藍里にとっては尊く大切な居場所であり帰る場所……ソウル・プレイスだ。この楽曲は藍里が抱いているソウル・プレイスと巡り逢いの縁への感謝、帰るべき場所への望郷の念、彼女の魂の逞しさを謳う楽曲。ここの節々がこの楽曲の要だと思えるのだ。


 そして…この楽曲はこんな言の葉で終わる。


 おかえり いつでもここに帰ってきてね


 ―林田藍里(CV:永野愛理) 『Party! Party!』より引用

 


 これは後付感が否めないが、林田藍里から永野愛理へのメッセージだろう。
その言の葉に永野さんはWUG最後のBlogにこの様な言の葉で応えている。

 
 

これからも一緒に頑張っていくから さよならはもちろん言わないよ

 まだまだ一緒に東北盛り上げようね!! あいちゃん、これからもよろしく!!!!
 

 ―Wake Up, Girls! OFFICIAL BLOG 『Like a SAKURA.あいり』より引用

 


 これは他のメンバーの事でも書いているが……
永野さんと巡り逢い魂を吹き込まれて存在している藍里と、藍里という存在に巡り逢えて東北の為に色んな事に挑戦出来る機を得た永野さん。
そんな二人にとっての縁への感謝としての楽曲としても成り立つ。いつの日か全てが終わって二人に別れが訪れてもこの楽曲が互いの想いを繋ぎ止めるのだろう。
永野さんの魂の中で藍里の魂は生き続けていく。だから『おかえり いつでもここに帰ってきてね』と縁への感謝を詞とメロディに込める。


 『林田藍里らしさ』を謳う楽曲ではなく『林田藍里だからこそ』謳える楽曲。
その『だからこそ』という唯一無二の答えと強さを謳うアンサーソングだと思うのである。

 

 そして……この記事を投稿する1月19日は、林田藍里と永野愛理さんのお誕生日。


 林田藍里さん、永野愛理さん。お誕生日おめでとうございます!!
お二方にとって素敵な年と幸多き年となります事を願っております。

自分が巡り逢った縁への感謝も込めてこの記事をお祝いの言葉とさせていただきます。

 

 

 以上で、Character song series 林田藍里編でした。
毎回ですが、あくまでもこんな解釈をしておる変人もいるという軽い感じで受け取っていただけたら幸いであります。

 


 最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

 

 

 

 

WUG楽曲 ライナーノーツ #29 Character song series 島田真夢編

 今年最初のWUG記はWUG楽曲ライナーノーツシリーズから始まります。
本年もこれまでと変わらず、いろいろと感じた事を書き殴っていきますのでお付き合いしていただけると幸いであります。


今回書いていくのは、Wake Up,Girls!のセンター・島田真夢のキャラクターソングシリーズ。
島田真夢という人物像と楽曲の曲調、詞とを照らし合せていってこれらの楽曲達を読み解いていきたいと思います。

 

 

 

 ハジマル/島田真夢(CV:吉岡茉祐)

 

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 アップテンポで奇を衒わないド直球な曲調、晴れやかで力強い歌声は聴き心地が良く、島田真夢の清廉な佇まいを彷彿させる様である。
曲題にある『ハジマル』=始まる。曲題もこれまた単純明快で小細工が無く潔い良い。島田真夢にとってのアンセム・ソング、魂が再生される模様を描写した楽曲に相応しい曲題だと思える。

この楽曲で印象深いのは、カラフル、描く、線など絵画的な表現が詞に入っている事だ。
絵という造形表現は視覚へと訴え掛ける表現としては最も強烈なモノ。真夢の心情、魂が再生して未知の領域への期待に胸躍らせる心模様を絵を描く工程になぞらえていっているのが面白い。

失意の底で心を閉ざしていた真夢は目に映る景色に目を背け、あるいは映る景色に色が無い景色だったのかもしれない。真夢が置き去りにしてしまったのは眸に映るあらゆる景色と色なのだろうと。
そして、WUGと出逢った彼女は魂という名のキャンバスに景色を新たに描き色を塗っていく。

 
 さぁ 一歩ずつ行こうよ 人間らしくていいよ

 正直で不器用な手描きの夢がいい

 まっすぐにたどれずに 迷い込んだ曲がり角

 そこで見つけたの 間違っていない未知がはじまる


 ―島田真夢(CV:吉岡茉祐) 『ハジマル』より引用

 

 真夢が新たに描いたのは、新しいモノではなくかつて描いたモノの続きだった。そして、失う事無く在り続けた人間らしく在るという彼女のアイデンティティ。詞にもあるように彼女は本当に一途であり不器用なのだ。
まっすぐ(真っ直ぐ)、夢。と彼女の名を示している字が詞に用いられている事と、未知が新たな道という意味にも掛けているのがまたエモーショナルであり、この楽曲の要となっている箇所だと思えるのである。

 

 

 

 

 走り出したencore/島田真夢(CV:吉岡茉祐)

 

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 前作『ハジマル』の系譜を受け継ぐ正統派なポップミュージック路線を踏襲している。
だが、この楽曲ではまた違った彩りというか趣きを感じさせてくれるのである。

『ハジマル』の項でも述べたが、晴れやかで力強く、未知へ対しての期待感を感じさせる歌声があの楽曲へのインプレッションだ。勿論、この楽曲でもその要素は損なわれていないのだが、歌声の質に違ったインプレッションを抱いている。違ったインプレッションの正体は表に出すのではなく内に秘めさせたモノであるのだと。

初めて聴いた時にまず感じたのが、『ハジマル』と比べると抑えたような叙情的で大人しめなインプレッション…言い方と変えてしまうと物足りないというインプレッション。だが、島田真夢という人物の続劇場版までの立ち振る舞いを見ているとこの楽曲が持つ雰囲気に合致している。真夢=吉岡さんが朗々と歌い上げるのでなく、句を意識して語りかけるような柔和な歌声は真夢の魂を共有していく事で秘めている想いを表現している。

 
 はじまるintro はじける音符が 新しい私を呼ぶから 

 加速をしていく 私のencore


 ―島田真夢(CV:吉岡茉祐) 『走り出したencore』より引用


 曲題とここの節で使われたencoreとは、再演または第二部という意味の言葉。
真夢の第一部はバッドエンドだったのかもしれない。そして、第二部=再起への扉は開いていたがその先を見ようとしていなかった。けど、真夢は変わろうとする想いを持って扉の先へと歩を踏み出した。
魂を再び滾らせて原初の想いを取り戻してグリーンリーヴスへと駆けて行った様に…今度のencoreは止まらない、どこまでも駆けてやろうという真夢の強い意志と決意を感じさせる。

 

 

 

 ユメ、まっすぐ。/島田真夢(CV:吉岡茉祐)

 

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 『ハジマル』で決起してスタートを切り、『走り出したencore』で文字通り走り出して加速して…そして、この楽曲『ユメ、まっすぐ。』で飛び立った。真夢の背に翼が生えて大空へと羽ばたくかの様な躍動感溢れる曲調と吉岡茉祐さんの絶唱は熱く滾るモノもありつつ、優しげな晴れやかさも感じるのである。

ユメ(夢)、まっすぐ(真っ直ぐ)。この楽曲には真夢の名の文字が用いられている。
夢を追う事と道を閉ざされてしまった彼女は心を閉ざし魂の火を消した。あらゆる事から目を背けていたのだ。大袈裟だが死んでしまったと同義なのだと……

だが、魂の奥底で密かに燻っていた原初の本当の想いは消しきってはいなかった。真夢は生きる事=夢を追う事を諦め切れてなかったのだと。

 

 生きている事 それは美しい 生命(いのち)輝くから

 今を歌える 全て託した この私達の物語を抱きしめて

 まっすぐにユメ伝えたい 羽ばたいてどこまでも飛んでゆくよ

 まっすぐに描いた未来の私 みんなに贈る溢れるほどの 幸せ


 ―島田真夢(CV:吉岡茉祐) 『ユメ、まっすぐ。』より引用

 

 真夢は人間らしく在る事を説いてきた。あの白木徹に噛み付いてもだ。
でも、その明確な答えというモノは真夢も分からないのだろうが……人間だからこそ出来る事がある。真夢にとっての生命の輝きとは夢を真っ直ぐ追い続ける事なのだろう。
WUGと出逢ったことによって結果的に真夢は原初の想いを取り戻し、魂に再び火を灯していく。救われたといってもいい。

救ってくれたWUGそのものへの感謝の想いと歌い踊る事が真夢にとっての幸せ=生への実感。大好きな事で輝く真夢を見てもらって幸せになってもらう事が真夢が思い描いて届けたい『真っ直ぐ』『夢』
ここの節々がこの楽曲の要であり、『ハジマル』『走り出したencore』から繋がってきた系譜の締めとなるアンサーソングとしての役割をこの楽曲は担っていたのだと個人的には思えてならないのである。

 

 

 

 以上、Character song series島田真夢編でした。
どの楽曲の解釈も困難なモノですが、今回はとりわけ困難でした……


さて、次回はこのライナーノーツシリーズ30回目。そして、ラストまで残り5回。

(ある楽曲の突然の出現により、1回増えましたwww)


 今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

Welcome! 2020♪ ー新年のご挨拶。

 明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

 

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西暦の十の位も変わり、改元してから初の年越しを迎えたある種スペシャルな年的な様相でもある本年ではあるものの、個人的にはそんな意識する事は無く、いつもの様に無理せず出来る範囲で様々な身の回りの状況に向き合って、考え、楽しんで過ごす事を心がけたい所存であります。

近年、毎年の様に書いておりますが、やっぱりアクションを起こすにあたって要となる資本でもある健全な心身のケア&リフレッシュは意識しなくてはならない。
取り敢えずの所は風邪ひく事もなく平穏無事に新年を迎える事が出来て胸を撫で下ろしまったりとこの悠久なる新年の雰囲気に浸りきっております。


 で……当Blog内のカテゴリー内の一つであるWUG記にてしつこく続いておるWUG楽曲ライナーノーツシリーズの終焉の刻の目処がようやく見えて来た。
なるべくコイツは早い段階にて最後まで書き上げていきたいと思っている。当面はコレが当Blogの今年の目標だ。まだコレは決めかねておるが、おそらく今度はランガ(Run Girls,Run!)楽曲のライナーノーツシリーズを書き出すかもしれない。


 前述で心身のケア&リフレッシュについて書いたが、いい歳のおっさんの領域に浸り、体力や身体能力の衰えを痛感させられるが……心・魂はすぐには衰えないモノだと思っている。
好奇心を持って挑んでみて、楽しめるという思考に至れるか。コレも毎年の様に書いておるが興味のアンテナを張り巡らせる事を怠らずに過ごしていく事は本当に大事だ。
そして、そいつをこのBlogに一つでも多くの心躍った事を書き殴って満たしていきたい。


そんな感じで、無理せず自分の出来る範囲とペースで
常に楽しむ気概を持って2020年を駆けていこうと思います。

 

 

 

 

 

Thank you 2019♪ ―今年も巡り逢いの縁に感謝。

 今年も、今日を含めて残り2日となった。
振り返るにはまだ早いかもしれないが、世間的にも元号が平成から令和へと変わり、消費税の増税、そして応援していた『Wake Up,Girls!』解散など……大なり小なり様々な変化があった一年だった様に思う。


 そして、俺自身にも変化の大きかった一年だった。漢字一字で今年の自分を表すなら『変』という字が最も相応しい。変わっていく身の回りの状況、変わらざるを得ない状況で決断しなくてはならないモノ。変化というモノは常に隣り合わせではあるのだけれども、この一年はそれを痛感させられた様に思える。
それを最も象徴していたのは当時の記事にも書いたが、中でも転職したという事が一番大きな変化だった。

まぁ……自分から見切りつけて辞めたのではなく、会社都合での退職と言う聞こえの良い言葉という戦力外通告での辞職ではあるが……
ただ、近い内に辞めてやろうとは本気で考えていた時期でもあったので、逆に向こうから通告して来たのは負け惜しみではなく渡りに船だったワケなんです。

いろいろあった結果、異業種ではあるが幸いにも再就職先が想定していたよりも早い段階で決まった事と、まだ判断するには早い時期なのだろうが…前職よりも遥かに良いと思えている職場だという事。
異業種に飛び込むのだから苦労するのは当然。けど、これまでに培って来た経験と知識は無駄にならず事象に当てはめて応用を利かせることは出来る。苦労しているというよりは、今経験している事が新鮮で面白いという方が勝っている感じである。(…いずれはそうも言ってられなくなるだろうがww)

そこで働きたいと感じて応募する決断を下したのは自分。結果が出て、そこで働く事を決断したのも自分。正しい決断だったのかは分からないが、正しい決断だったと言える様にしていく事が肝要。
それを意識して来年も励んでいきたいと思っている。


 いろいろ変化が大きかった稀な年ではあったが総評してみると楽しくあり刺激的な一年。
変わらざるを得ない状況で見て感じた新しい環境や知見は今後に必ず繋げていきたい。

そして今年も大きな怪我や病気せずに過ごせる事が出来たことは本当に良かった事。
来年も健やかに、様々な事柄に興味のアンテナを張って刺激を感性に与えたいものである。


 
 来年もまた佳き『縁』との出逢いが出来ます様…
想いを馳せつつ残り僅かとなった年の瀬をまったりと過ごしたい所存であります。

 

今年一年、この駄文Blogを読んで下さり本当にありがとうございました!
それでは皆様、佳いお年を。

 

 

 

祝WUG記200記事記念!独断で選んだWUG記記事10選。

 どうも。あかとんぼ弐号でございます。


先日のエントリーでも触れましたが、当Blog内のカテゴリー【WUG記】記事が200記事を突破致しました。まぁ、数あれば良いというワケでは勿論ありませんが……ここまでとこれからに向けて書きたいというモチベーションがあることについては自分で自分を褒め称えてやりたいと思うwww


てなワケで…(何がだよ)今回の記事は緊急特別企画。


『WUG記200記事突破記念!俺選定“WUG記Best記事10選”』を勝手にお届け致します。


これまでに書いて来たWUG関連記事を振り返りつつ、特に思い入れが深い10記事を書いた当時の心境を踏まえながら紹介していく企画として書いていきます。
……完全な自画自賛で、こんなモノ世に放っても良いモノなのかとは思いますがww200記事突破で浮かれたアホなおっさんの所業と思ってお付き合いして頂けると嬉しく思います。

 

 

 


 ● 戦友≒ライバル

 

akatonbo02.hatenablog.jp


 鷲崎健さんのインターネットラジオ番組『鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト』に、吉岡茉祐さんと青山吉能さんがゲストで出演された回にてWUG結成当時喧嘩をした話をされた時の事を書いた記事ですな。
ネット検索で『まゆしぃ よっぴー 喧嘩』で検索してみるとこのBlogが1番上に出て来るんだぜ……どうなってるんだww

内容の方は、彼女達が喧嘩をしたというだけの話ではなく、自分が七人を見ていて感じた記事タイトルにある様な戦友≒ライバルという関係性が最も当てはまるんじゃないかと思って書いたつもりだったが……まゆしぃとよっぴーの関係性の方にベクトルが傾いていった…そんな感じの記事です。

この二人の関係性を踏まえて『少女交響曲』での彼女達の掛け合いパートを見るとまた違ったインプレッションが抱けるのではないでしょうか?


……ちなみに感じられねぇぢゃねぇか!!と
当局に怒りをぶちまけられても一切関知しませんので悪しからずww

 

 

 


 ● 滾る思いを……

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 これは2016年のWUG3rdツアー開幕前に書いた所謂お気持ち表明的な
参戦に当たっての勝手な決意表明、鼓舞する為に書き殴ったヤツです。

これ以降、自分はライブ参戦直前にこういうテイストの記事を書く様になりました。
そして…これ以降の当Blogの文脈が熱苦しい方向にSHIFTチェンジしていったおそらく原因となった記事だったと思えます。

 

 

 


 ● 魅力(勝手に)伝えさせて下さいッ!~其の一 みにゃみ編~

 

akatonbo02.hatenablog.jp


 当時(2016年)のある晩秋の日。ふとこう思ったんですよね。
(狭量な偏見混じりだが…)あの七人や曲の事をBlogに書いたモノが少ないなと。で……勝手にまた思ってしまったんですよ。


少ないのなら、俺が勝手に書き殴ったモノを加えて一つでも多く出来ないモノかと。


そう思って書き殴った、メンバーの魅力を勝手に伝える記事と、今もまだしつこく続いておるWUG楽曲ライナーノーツシリーズへと繋がる記事の先駆けとなった記事です。
この記事は意外と好評を頂きまして…当Blog史上一番最初に拡散された記事であり、多くの方に読んでいただけた記事。拡散してくださる方、反応を下さる方が増えて来て手応えと戸惑いを感じましたねぇ。これらのシリーズを読んで下さってWUGを深く知ったきっかけという声をいただけたのも嬉しかった事であります。

 

 

 


 ● 想いを繋いだ"奇跡の絶唱

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 当Blogにて歴代最高のアクセス数を叩き出した記事。


 2018年の3月に青森で開催されたWUGメンバーによる、青山吉能さんソロイベントの所感。ただ、俺はこの公演には参戦していなかった。彼女がこの公演で魅せたあるアクトの所感について書き殴った記事。
参戦出来なかったイベントについて書く事は普通出来ないしやらないんですよ。でも、

 

俺は書いちゃうんだよ。アホだからwww

 

んで、これ以降参戦してないライブの所感を書く様にもなってしまった……。
扉は叩かなきゃ開かない。この言葉の意味をいろいろと思い知らされる切っ掛けにもなった思い入れの深い記事となりました。

 

 

 


 ● 宮城巡礼紀行・初日 ~閖上の『今』という刻の物語

 

akatonbo02.hatenablog.jp


 今年の3月、退職前の有給消化期間に仙台へ巡礼の旅に出た時の記事。
また行きたいのは勿論、他の東北の地にも赴いて様々な事を自分の五感で体験したい。
ここに挙げたのは初日の模様のみですが、二日目と三日目の模様も書いております。

 


 さて、これで折り返し地点。残りの五つはどの記事が入っているのでしょうか?!今からワクワクとドキドキが止まりません!!(茶番)

 

 

 

 

 ● WUG&ランガをサッカーのフォーメーションで例えたら……

 

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 全力でふざけてやらかし、でも、勿論大真面目に考えて書き殴った記事。
構想自体はWUGを応援してしばらく経ってからあってwwwんで、ランガの登場でそいつがいよいよ形に出来るぢゃないのと思って書き上げた傑作(テメェで言うな)。

勢いのまま書き上げて、投稿する時はいつも以上に緊張しました。
正直ボロクソに叩かれるのは覚悟してましたが……その予想に反して好感触を頂けたんですよ。


完全な余談だが、厚木那奈美さんはボランチ適正があると最近判明したww


※個人の感想です。

 

 

 

 

 ● 告げられた終焉の刻~覚悟して前を向け~

 

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 WUGを応援しようと決め、推す軌跡の中でBlogには絶対書こうと決めていた三つの事柄の内の一つでWUGの解散についての記事。
解散在りきで活動していた事は知ってはいましたが、この時期でそれが発表された事はまさに晴天の霹靂でした。

で……書こうと決めてはいたけど、なかなか筆が進まなかったのはやっぱり突然すぎた事もあったし、すんなりと許容して受け入れるにはどうしても至らなかったワケで……
なので、思いの丈をそのままぶちまけて推敲は一切せずに投稿して、覚悟して前に進む為に書き殴った記事でした。

 

 

 

 

 ● 魅惑と狂気の領域の向こう側へ……/奥野香耶ソロ楽曲・あのね所感

 

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 200以上のWUG記中、最も難産だった記事……故に思い入れも深い。


大抵、この人(奥野香耶さん)が絡んだ記事は難産になるんですww
人物や楽曲考察系の記事を書く際には聴き込みや人物に関する事柄を出来る範囲内で集められるだけ集めて書く。特にこの楽曲と奥野さんがもつ独自の領域により巧妙に設計されて、奥野香耶さんの手のひらの上である。
どうにかして頭を抱えながら彼女の手のひらを全力疾走して抗ってみて何とか書き殴った一本。

手応えの割には、この記事はあまり読まれなかった印象ではありますが、個人的には何とかまとめられたのではないかと謎の自負はあります。

 

 

 

 


 ● 辿り着いた約束の地と刻 ―Wake Up, Girls! さいたまスーパーアリーナ単独公演開催決定に寄せて。―

 

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 WUGが武道館orさいたまスーパーアリーナでの単独公演が決定したら絶対書くと決めていた記事。この発表を知ってすぐさま勢いのまま書き殴った。
本当、コレが書けたというのは嬉しかった。

 

 


遂に残り一つとなりました。最後に挙げる記事は一体何なのか?!
あれか?あの事なのか?それとも意外なあの記事なのか?

飽きたからとっとと終わらせやがれとお怒りのそこのあなた。
もう少しで終わるのでどうか付き合って下さい。

 

 

 


 ● 約束の刻の奇跡と未来。―Wake Up, Girls! FINAL LIVE~想い出のパレード~参戦レポ

 

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 やっぱりね、コレになるんですよ……だって七人でいられた最期のライブだったんだから。
本文は22000字越え+α七人が書いて来た手紙への所感込みでトータル30000字越えという…当Blog史上最長の文字数となってしまいました。

おそらくコレを越える文字数は今後書けないでしょう。
それ程の熱量と想いを込めて書かせていただきました。

 

 

 


 と、言うわけで、独断で勝手に挙げた思い入れ深きWUG記10選記事でした。


そして、今年最後のWUG記記事となります。
相変わらず文章力や理論の欠片すら無く、エモーショナルなモノとは遥か遠い駄文。無い袖が振れないし求めてもどうにもならないので在りのままの武器で書くしかない。
ただ単純にこれからも『Wake Up,Girls!』に関わる様々な事柄にドキドキしてワクワクした事を書き続ける。そんな奴が書き殴ったモノで良ければ、これからも宜しくお願い致します。

 


最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました!!!!!!!

 

 

 

 

WUG楽曲 ライナーノーツ #28 Character song series 片山実波編

 『Wake Up, Girls! Character song series』三人目は……
WUGのWonder Sunny Girl(驚異の太陽小町)片山実波のキャラクターソングシリーズ。


…太陽娘にしようかと思ったんですが、実波と田中美海さんは和装がめっちゃ似合う方だと勝手に思っておるので和のイメージが強い『小町』という語を当ててしまいました。
まぁ、おっさんの妄言という四方山話をつらつらと書き殴っても仕方ないので本編へ。

 

 

 

 

 歌と魚とハダシとわたし/片山実波(CV:田中美海)

 

 

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 『歌』は、実波のストロングポイントでもある民謡で鍛えられた歌唱力。『魚』はそのままの食物でもあり、食という行為にも連想され、彼女が生まれ育った水産都市である宮城県石巻の事でもある様にも捉えられる。
歌い出しの歌詞にあるかまぼこ(笹かまぼこ)も石巻の名産品。2番の詞にある魚のDHAソウルフードのDNAを掛ける言葉遊び的な要素は面白い。

そして、ハダシは素の実波自身=わたしを指す言葉だろう。前述の魚をまた持ち出すが魚は海の恵みでもある。実波の名の字にある波の字と彼女に魂を吹き込む田中美海さんの名にある海の字。
海と連想、直結する語との繋がりもそうだけれども両者に共通しているもう一つの要素、圧倒的な『陽』の因子もこの楽曲からは感じられるのである。

 

 歌とお日さまと おいしいものへの感謝と

 ハダシと美しい自然と それからずっとわたしは仲間たちと


 ―片山実波(CV:田中美海) 『歌と魚とハダシとわたし』より引用


 それらを踏まえてこの楽曲を捉えていくと、片山実波という人物のバックボーン……彼女の精神的支柱への賛歌でもあり望郷の念を謳った楽曲だと言えるだろう。
この節々はそれを象徴している箇所。そして、片山実波と田中美海という存在を結ばせた縁への感謝も込められている様に思えても来る。

 


 そして……片山実波がこの楽曲のジャケットで着てる衣裳を着ている田中美海さん。

 

 


 この衣裳は片山実波と彼女に魂を吹き込む田中美海さん両者の縁の繋がりの強さを証明する重要なファクター。2015年に開催されたWUGの初めてのソロイベントにて、田中美海さんは実際にこの衣裳を纏って出演された。そして、衣裳を作られたのは田中さんのお母様のお手製による物だった。単純なキャラクターとの繋がりだけではなく衣裳に想いを魂を込めて共に在ろうという田中さんの心意気と片山実波への縁の感謝が在ったと思える。

 

 

 

 

 それいけオトメ/片山実波(CV:田中美海)

 

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 軽妙なロックサウンドと田中さんの溌溂した歌声とが絶妙な合致具合が青空の下を全力疾走しているかの様な疾走感と爽快感を醸し出す。元気溌溂、天真爛漫な片山実波のパーソナリティを印象付けさせる奇を衒わないド直球的ガールポップテイストの応援ソングに仕上がった楽曲。これもまた実波と田中さんの圧倒的な『陽』の輝きを見せ付ける楽曲だ。詞にある『未来を照らす』は彼女達の導き、照らすチカラを象徴していると思える。


 頑張っているキミが 私のパワーになる

 なんだか ねぇ! こういうのワンダフルだよねっ!


 ―片山実波(CV:田中美海) 『それいけオトメ』より引用


応援対象に対し、純然に背中を押してあげるようでもありその相手に対して負けない為に自分を高めようとする清々しい闘いの歌でもある。
ライバルへの清々しい想いを謳う楽曲という括りの系譜で言うと、田中さんがユニットとして歌う『プラチナ・サンライズ』と同じ系譜に連なる様にも思えるのだ。
上記の節はそれを証明している歌詞ではないだろうか。


 曲題にある『オトメ』という語。これは様々な解釈が出来る語だと思う。
続・劇場版・後編で実波の大切な御守りを渡した久海菜々美であったり、軌跡を共に行くWUGメンバー、田中美海さん、そして…実波自身。『オトメ』というのは限定した特定の対象ではないのだろう。


 それいけオトメ キミなら絶対に大丈夫

 もし信じられなくても 私が信じてる

 とびだせオトメ せーので出発進行だ

 キミが迷わず見つめる未来を照らすよ


 ―片山実波(CV:田中美海) 『それいけオトメ』より引用


 実波から放たれる圧倒的な『陽』の輝き。彼女はその輝きで関わる人達全てを照らせると本気で心の底から怖いほど純粋に信じている。
その穢れ無き純然な魂と信念が片山実波の魂の輝きの強さであり、彼女が信じる幸せのカタチなのだと思える。

 

 

 

 ぽんとPUSH! もっとSMILE!/片山実波(CV:田中美海)

 

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 前二作にて踏襲されている軽妙かつ明朗な楽曲の根本となる雰囲気は変わらないものの、変化の幅と奥行きはとんでもなく広くて底深い。
民謡のエッセンスを感じさせる『歌と魚とハダシとわたし』、正統派ガールポップ調の『それいけオトメ』。そして、今作ではヒップホップ調という変化球を放り投げて来た。
実波と言えば『食』。そのイメージで楽曲の雰囲気を例えていくと、和食から洋食へと来て今作は香辛料たっぷりな南国料理がテーブルに並べられたと言うところか。
何でも美味しく食す実波と、颯爽と何でもこなして成果で魅せ付ける田中さんの底深さを感じさせられる楽曲だとも思えてしまうのだ。


 たえない痛みもいつか 海は凪いで

 立ち上がれる日がきっと来るから


 ―片山実波(CV:田中美海) 『ぽんとPUSH! もっとSMILE!』より引用


 これまでの実波のキャラソンの詞ではなかったネガティブな『痛み』という言葉が、この楽曲がもたらす変化という意外性と違和感の『核』である様に自分は捉えてしまうのである。
続・劇場版前篇で実波の台詞に『あの時、あれを乗り越えた自分がいるんだから』という台詞がある。実波にとってのあの時のあれは困難や痛みを伴うモノ。そして、凪ぐは心が和ぐにも掛けているのだろう。
遭った困難と痛みは刻が経って彼女が立ち上がる為に必要な養分・糧となる経験として息づいている。この箇所での静かな波の如く心穏やかで柔和な田中さんの歌声はこの楽曲にまた違う彩りと深みをもたらしている様に思える。


 そして、実波のブレない一本の楔となる『要』となっているのが以下の節なんだ。


 今日はもっとSMILE! SMILE! 元気あげよう

 まあるい地球 ニコニコ絵文字に変えちゃおっ

 キミならきっと出来る

 
 ―片山実波(CV:田中美海) 『ぽんとPUSH! もっとSMILE!』より引用


 『それいけオトメ』の項でも触れたが、実波は純粋過ぎるほどに自らに関わる人達を本気で笑顔を届けられると信じ抜いていて貫き通している。
自分が、片山実波に感じている『強さ』の要となっているのが、如何なる時でもブレないで貫き通せる一途な意地だと思えてならない。


『キミならきっと出来る』。片山実波の最大のサポーターは実波自身でもあるのだ。

 

 


 以上が、『Wake Up, Girls! Character song series』片山実波編のインプレッションになる。
毎度ながら…このライナーノーツは個人の独断と偏見による偏狭な視点にて書いております。
モノの解釈や所感は正解や満点が無い。コレを読んで他の解釈や所感があればコメント頂けると嬉しく思います。視点が違う解釈や所感に触れる事は本当に大切だし、面白いモノなのです。


 おそらく、次回のWUG楽曲ライナーノーツ記事は間が空き、来年になってしまいますが……無事投稿されたら読んで下さると幸いであります。

 


 今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。