巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

WUG楽曲 ライナーノーツ #25 Regain Brave/End of endless/Go for it!

 皆様、休日お疲れ様でした。あかとんぼ弐号でございます。

 


完全な見切り発車でおっ始めて、二年以上の年月が経過してしまったこのWUG楽曲ライナーノーツやらして下さいッ!ですが、今回を含めて残り9回となりました。
ただ…いつ頃最終回になるのかの日時は全く見通しが立っておりませんがwwwまぁ、頑張って早いこと書き上げられる様に務めていきたい所存であります。

 


それでは、今回書いていくのは……

 

 

 

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ベストアルバム『Wake Up, Best!2』からこの3曲。

 

 

 

 


 Regain Brave/木高ゆみ(CV:高木美佑)

  

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 続・劇場版前篇『青春の影』挿入歌。bvex所属のアーティストである木高ゆみの楽曲。
クール&スタイリッシュなダンスチューンを強烈に感じさせる曲調が印象的だ。ここまでクール&スタイリッシュなダンスチューンに振り切った方向性は、当時(2015年)のWUG楽曲ではI-1楽曲『ジェラ』以来だと思える。

そして、この楽曲の最大の注目点は木高ゆみとして歌う高木美佑さんの歌声だろう。高木さん曰く、木高ゆみとして歌う際のイメージとして浜崎あゆみさんをイメージし寄せていって歌ったそうです。高木さんの中で在る木高ゆみの人物像の最適解が浜崎あゆみさんだったのでしょう。彼女の歌声のクセを器用にトレースしサビの節ではそれが顕著に表れている様に思えてきて、自分が高木美佑さんに抱くユーティリティ性の高さを感じさせる楽曲。


(注:個人の感想です)


クールでスタイリッシュさを感じさせるサウンドは所謂、格好良い楽曲の印象付けがされる。けど、詞の内容のみで捉えていくと単に格好良いだけの世界観を紡いでいるという事ではない様に思えて来るのだ。


 雑踏に染まっていくうちに 個性のない透明になって

 前には進めるけれど それでいいの?

 
 ―木高ゆみ(CV:高木美佑) 『Regain Brave』より引用


 雑踏とはおそらく東京の比喩表現。個性のない透明とは東京での刻の流れに翻弄され自身のアイデンティティを見失う事の喩えの様にも感じられる。Regain(取り戻す)Brave(勇気)と楽曲の題にあるが詞の紡いでいる世界観は、刻や地がもたらす流れに翻弄されながらも抗う事は止めず自身の貫きたい想いを取り戻し未知の軌跡へ突き進む意欲に満ちたモノなのだろう。それが表れて『要』を成しているのが以下の節だと思える。


 大事なものはずっと 底の底から

 ここにいると叫んでいたんだ 拒んでも聞こえているはずだから


 ―木高ゆみ(CV:高木美佑) 『Regain Brave』より引用


 原初の楽曲なのか、アンセムソングなのか、分水嶺的な楽曲なのか、木高ゆみの中でこの楽曲がどういった位置の楽曲なのかは分からない。自分の解釈としては洗練されたクール&スタイリッシュさで飾りながらも内に秘めた叩き上げの魂は失くしていない。取り戻すという意味のある語を曲題に冠した事を考えると、木高ゆみのアンセムソングの様に思えてならないのである。

 

 

 

 

 End of endless/mip'o(CV:田中美海)

 

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 こちらも、bvex所属のアーティストであるmip'oによる楽曲。
どう表現して良いか分からんが、EDM調でもあるしフラメンコの様な哀愁も感じられる不可思議な楽曲。ローテンポだけれどもダンスミュージック要素が強い楽曲の様に感じる。で……歌うmip'oという人物が木高ゆみ以上に全くの謎満載な人物なので……mip'oが歌う楽曲というかは、田中美海さんが素の声色で歌われるソロ楽曲という位置付けで自分は捉えているのである。田中さんのやや抑え気味な低音域の独特な艶やかさがこの楽曲のメロディとの調和を見事に果たしている。

この楽曲でも印象的だったのは、お洒落さ漂わせるサウンドとはまた違ったテイストのアンバランスさ。そのアンバランス感の正体は『闘い』を匂わせる強烈な言の葉で紡がれる詞の世界観なんだと。
冒頭の節で、mip'oの実体験からなのか創作上の人物かは不明だけれど、過去に何らか(メンタル的なモノとして解釈させてもらう)の傷を負ってしまったのだろう。詞中の『灰色の世界』はそれを象徴しているのだと思えなくもない。

けれども、刻が経っていくに連れて穏やかに笑えるまでに回復し決起する意欲が湧き立った様な描写となっている。そして、此処で生きていく事の覚悟と決意を示していると思えるのが詞にある『枯れない花』という喩えに思えて来る。


 揺るがない想い 誰も 私の心は奪えない

 End of needless ひとつも残さず すべて 私の糧に変えて道をつくろう


 ―mip'o(CV:田中美海) 『End of endless』より引用

 

 上述の節々からは激しく滾る情念が込められこの楽曲の『要』を成す要素であると思える。
『誰』という存在は明確な存在ではない。もしかすると眼には捉えられない『刻』や『場』の雰囲気も含んだあらゆる概念なのかもしれない。状況や他者に身を任せ流されるままではなく自らの軌跡は自分の手で切り拓き、何人たりとも、『心』、『覚悟』、『希望』は奪わせない。そして、田中美海さんの溌溂とした歌声がまた楽曲が紡いだ世界観に更に熱と深みを付加していて彼女のまた違った底深い面が感じられる楽曲だと思える。

 

 

 

 

 Go for it!/ホットドッグ(CV:小林竜之)

 

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 WUG楽曲唯一の男性ボーカル楽曲。ホットドッグもbvex所属の二人組のユニットとの事。
歌うのは、Wake Up,Girls!とは何かと縁深い繋がりを持つDive2 entertainment所属のアーティストである小林竜之氏。『Regain Brave』や『End of endless』と同様こちらの楽曲も、ダンスミュージック要素を前面に押し出している印象を抱いた。私見であるがbvexサウンドはダンスミュージックというインプレッションを思わせる事を意識して作られた様に思える。


 今こそStand up! 追い風を纏って

 明日へGo for it! 光射す場所が待っている

 止まない雨などないから 心配はしないで

 なりふり構わず らしくいればいい


 ―ホットドッグ(CV:小林竜之) 『Go for it!』より引用


 Stand up!や止まない雨≒(明けない夜はない)の節は、WUG楽曲『タチアガレ!』を彷彿させてくれる。ただし、使っている語句が同じだったり同義語だからといって彷彿させると言ってしまうのは暴論だろうしただの偶然かもしれない……しかし、敢えて寄せる様に作ったという可能性も否定できないようにも思えても来るが、ここはシンプルにホットドッグの応援ソングであるこの楽曲の『要』を担う箇所として捉える方がすんなりと収まるだろう。

Go for it!=頑張れという意味の曲題に違わない奇を衒わないド直球な疾走感と清々しさを感じさせる歌詞が紡ぐ世界観と、小林さんの瑞々しく力強いボーカルが良い意味での新鮮な異質さとしてWUG楽曲とはまた一味違った魅力を放っている楽曲だと言える。

 

 


 これらの3曲。それぞれに違うテイストを持つ楽曲だが、WUG楽曲のイズムであると自分が勝手に思い込んでいる『核』である何かに抗い決起する様はきっちりと継承されて描写されていると思える。
歌われる場面こそ描かれてはいないがこの3曲は(b-SessionでのBGMとして流れたが…)三者と同じbvex所属となったが時勢の波に翻弄され自分達らしさを見失って苦闘の最中にあったWUGへのエールとしての裏の面を秘めていたのではないだろうか?各曲の項で引用した節はそれを訴えかけているのだと解釈させてもらった。三者とWUGとの間に明確な繋がりと絡みは描かれてはいない。だが、詞の紡いでいる世界観で楽曲陣を改めて捉えていくと単なる偶然という言葉で一蹴出来ない様に自分は思えてならなかったのである。


ただ……これはあくまでも俺個人の私見であって正解ではありませんがという逃げ口上を持って本稿を締め括りたいと思います。

 

相変わらずの駄文で恐縮ですが、最後まで読んで下さりありがとうございました。